2018 Fiscal Year Research-status Report
大規模な行動解析データの二次利用による行動表現型と遺伝子群の関連解析
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18K07400
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
服部 聡子 (高井聡子) 藤田医科大学, 総合医科学研究所, 助教 (00415564)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 網羅的行動解析 / 大規模データ / データベース / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
計測技術や解析ツールの発展により、生命科学全般において大規模データの取得が身近なものとなってきている。こうした大規模データの解析を行うにあたり、データを取得した研究者以外にも広く利活用できるように公開する、オープンデータの取り組みが進められている。このようなデータ共有は、多様な専門分野の研究者が多様な切り口で解析に関わる機会を提供するだけでなく、研究結果の再現性の確認が容易に行えること、他の研究者によって解析済みのテーマを再解析するリスクを回避できることなど、種々の観点から生命科学研究の進歩を加速させることが期待されている。 そこで、本研究にて申請者は、これまでに所属研究室で取得してきた200系統以上の遺伝子改変マウスとその統制群マウス、あわせて数千匹から取得した大規模な網羅的行動解析データを二次利用しやすい形に整備し、公開することを目指す。また、整備したデータを用い、これまでになかった行動データを基点とした「行動表現型と各遺伝子との連関図」を作成する。本研究にて整備、解析に用いるデータは、(1)ほぼ同一の設備、環境、プロトコルで取得していること、(2)200系統、数千匹以上の遺伝子改変マウスの大規模データであること、(3)感覚・知覚、運動だけでなく、情動や記憶学習など高次の機能解析を含む20種類以上のテストから数十個以上の行動指標取得していることなどの特徴があるが、こうしたデータは世界的にも類を見ない貴重なものであり、利用価値は高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、これまで取得してきたデータを効率的に2次利用するための環境整備として、サーバーの立ち上げと遺伝子改変マウスから取得したデータの移設/整理を行った。また、現在保有しているデータベースの改訂準備や、統計解析環境の構築/改良を進めた。長期的には、申請者らの研究室から取得したデータ以外もデータベースに掲載し、解析に使用していくことを視野に入れているため、行動解析方法の標準化を推進していきたいと考えている。そのため、同研究室で使用している行動解析ソフトウエアをオープンソース化し(Hattori et al., 2019)、ソフトウエアの利用者拡大、開発促進を試みた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、実際に「行動表現型と各遺伝子との連関図」を作成するための、指標の探索・選定を行う。連関図に使用する指標としては、連続的な値を取る数値データのみを対象とする。解析を行う際には、得られた指標(数値データ)を系統間で比較する必要があるため、それぞれの指標について、統制群の値を基準とした標準化を行う計画である。また、統制群と実験群でのfold changeや統計解析時のp値など、系統間比較に使用可能な指標を探索し、解析を行うにあたり適切な指標を選択する。
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Causes of Carryover |
当初予定した、データの整備のための外部委託費が予定よりも安価で済んだため。
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Research Products
(4 results)