2019 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍抗原特異的細胞障害性T細胞のクローン性増幅と機能解析法の開発
Project/Area Number |
18K07410
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
成田 美和子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30281009)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | CTL / NK / WT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)は、腫瘍特異抗原を認識している抗原特異的細胞障害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte, 以下CTL)の機能を増強させることを目的として開発された薬剤である。しかし、CTLそのものを個別に同定し、その機能について詳細に把握する手段は未だ十分には開発されていない。 本研究は、腫瘍免疫検査学の視点から、抗原特異的CTLを数値化し経時的に測定し機能測定を行う方法の開発と、免疫増強能が報告されている薬剤の細胞性免疫に対する効果測定法の開発 を最終目標としている。 前年度の検討結果を踏まえ、2019年度は、以下を検討した。①混合リンパ球ペプチド培養法を用いて、HL-A*24:02陽性造血器腫瘍性疾患におけるWT1-CTLの効率的な検出方法・条件を継続検討した。一部の造血器腫瘍性疾患において、骨髄中に存在するCTL検出も可能であること、CTLの存在が症例ごとに異なりその機能も異なること を確認した。②WT1 tetramer+細胞(WT1-CTL)が確認されたwellのCTLのさらなる増幅を試みた。すなわち、30γ照射した樹状細胞由来細胞株をfeeder細胞として、WT1 tetramer+細胞とWT1ペプチド、サイトカインカクテル添加にて培養を継続し、1-2 週間後に、WT1 tetramerおよびPD-1 の発現について解析を行った。抗PD-1抗体添加がCTL増幅に及ぼす効果についても検討した。③WT1-CTLが、NK細胞の活性化にも関与していることを、混合リンパ球ペプチド培養法を基盤とした新しい培養系を用いた解析を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TLRを刺激した樹状細胞株をfeeder細胞として用いることにより、CTLの増幅は可能であるが、細胞障害活性に関しては一定の結果が得られなかった。また、培養を継続することにより、PD-1の発現は増強する傾向であったが、抗PD-1抗体を添加することで明らかに増幅あるいはCTL活性を増強するという結果は得られなかった。増幅した一部のCTLについてVbレパートリーの解析を行ったところ、複数のレパートリーを有することが確認されたが、機能との関連性は未だ明らかではない。これらの点から、当初の計画の一部を変更し、CTLとNK活性の関連性についても積極的な検討を加えることになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
免疫チェックポイント抑制剤の効果の確認に混合リンパ球ペプチド培養法を用いた抗原特異的CTLの増幅法を用いることが当初の目的のひとつであったが、増幅したCTLの機能やレパートリーに多様性があることは判明した。一方、CTLに対する増幅刺激がNK活性を増強させることが分かった。今後は、CTL活性を増強はNK活性も増強させることをサイトカイン測定や細胞障害性測定によって明らかにし、IMiDsなどの免疫賦活剤がCTLとNKに及ぼす機能についても解析を行う。
|
Causes of Carryover |
主に抗PD-1抗体を用いた検討において一定の結果が得られなかったため、実験系を再検討した。基礎的検討結果は良好であり、研究費を次年度に繰り越し引き続き解析を続けることとなった。
|