2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research for Alzheimer's disease-related factors based on neuropathological background
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18K07413
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹屋 泰 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70590339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 朱公 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (50784708)
里 直行 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 認知症先進医療開発センター, 部長 (70372612)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 認知症 / 神経病理 / 髄液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腰椎穿刺の実施条件・回収チューブの種類・検体分注と保存手順・ELISA測定条件などを完全に統一したプロトコールを構築し、アルツハイマー病髄液マーカーを正確かつ高い再現性で測定可能なシステムを確立した。このプロトコールに従い、年間約80症例の認知症患者に対して髄液コアマーカー測定を含めた精査を行い、過去3年間で約250例のデータセットを収集した。 上記の高品質認知症検体バンクを活用し、アルツハイマー病に関連する新規バイオマーカーの臨床的意義について検証を行った。近年、神経変性を反映するバイオマーカーとして髄液neurofilament(NF)値の有用性が報告されている。NFには複数のサブユニットが存在し、H鎖とL鎖の測定系が確立している。NFは軸索損傷をきたす病態においても髄液中濃度が変化する可能性が示唆されているが、サブユニット間での病的意義の違いなど不明な点が多い。そこで、認知症高齢者で有病率の高い脳白質病変(慢性虚血性変化)が髄液NF値に与える影響を評価した。アルツハイマー病髄液コアマーカー値と脳MRIデータが揃った計72症例を対象とし(平均年齢75.4歳)、リン酸化NF-H鎖(pNF-H)、NF-L鎖(NF-L)濃度をELISAで測定した。脳白質病変の程度はFazekas分類にて評価した。髄液pNF-H濃度は脳白質病変の重症度と有意な正の相関を示したが(p < 0.01)、NF-Lでは有意な相関は見られなかった。また、髄液中のpNF-HとNF-L濃度に大きな乖離がみられる症例が複数存在していた。このことから、髄液中pNF-H濃度は脳白質病変の影響を強く受けることが示唆され、また、NFはサブユニットによって異なる代謝動態を示すことが示唆された。このことは神経変性の重症度を反映するとされるNF値のバイオマーカーとしての意義を考える上で重要と考えられた。
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