2019 Fiscal Year Research-status Report
骨髄微小環境下の白血病細胞の生存戦略「代謝制御」解明による新しい高齢者がん対策
Project/Area Number |
18K07424
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田部 陽子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70306968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井田 孝 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80260545)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化的リン酸化 / 骨髄微小環境 / 急性骨髄性白血病 / CAGE解析 / 細胞接着 / tunneling nano tube / Mesenchymal Stem Cell |
Outline of Annual Research Achievements |
「がん微小環境」は、がんの旺盛な増殖力で低栄養と低酸素状態が作り出され、その中でがんは独特のエネルギー代謝や低酸素環境への適応力を獲得する。そこで、本研究では、骨髄微小環境内における白血病細胞の生存力の軸となる酸化的リン酸化(OxPhos)の制御機構を解明し、そこに残存する白血病細胞を識別できるマーカーを同定することを目的とした。 当該年度の研究では、前年度に実施した急性骨髄性白血病(AML)患者由来細胞を対象とするcap analysis of gene expression (CAGE)解析について、患者検体数を耐性10例、感受性16例まで増やして転写ネットワーク解析を行った。その結果、新たにIACS-10759 耐性細胞群において細胞接着、細胞遊走、細胞骨格に関連する遺伝子群の発現が亢進しているという結果が得られた。また、IACS-10759感受性AML 細胞株OCI-AML3、耐性AML細胞株MOLM13を用いてExtracellular Flux Analyserによる代謝動態解析を行いOxPhos阻害剤耐性細胞において基礎的代謝亢進が認められることを明らかにした。さらに、IACS-10759感受性AML 細胞株OCI-AML3が、骨髄間質細胞(MSC、Mesenchymal Stem Cell)との共培養下でOxPhos阻害剤耐性傾向を獲得することと、OCI-AML3細胞とMSCをつなぐtunneling nano tubeを形成することを見出だした。以上、骨髄微小環境においてAML細胞が骨髄間質細胞との相互作用の下でOxPhos阻害剤耐性を獲得すること、その際に細胞接着、細胞遊走、細胞骨格に関連する変化としてtunneling nano tubeが形成されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、IACS-10759感受性/耐性AML患者由来細胞間での遺伝子発現の違いについて、前年度から大幅に患者検体数を増やして検討した。CAGE解析によってIACS-010759感受性のAML患者由来細胞と耐性細胞間の遺伝子発現差が検出され、骨髄微小環境内での細胞間の相互作用(細胞接着、遊走、細胞骨格変化など)に関わる遺伝子発現がOxPhos阻害剤耐性細胞で上昇していることがわかった。さらにin vitro実験において、骨髄間質細胞と直接接着条件下にあるAML細胞株がOxPhos阻害剤に対する抵抗性を獲得することがわかった。その際、骨髄間質細胞と接着するAML細胞では、OxPhos阻害剤によるミトコンドリア呼吸能の抑制が少なくなり、形態学的にはtunneling nano tubeを形成して骨髄間質細胞と連結することを見出した。そこで、AML細胞のOxPhos阻害剤抵抗性とtunneling nano tubeを介した骨髄間質細胞とAML細胞間のミトコンドリア移動との関連性を調べることとした。そこで、AML細胞株とMSCに異なる蛍光標識(OCI-AML細胞:GFP標識、MSC:dsRED標識)を施したミトコンドリアPDHA1遺伝子を導入し、両者の共培養下でIACS-010759添加後の細胞形態の変化とtunneling nano tubeを介したミトコンドリアの細胞間移動についてて共焦点顕微鏡および電子顕微鏡による形態学的検証を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、骨髄微小環境の中で生じる骨髄間質細胞との相互作用によってAML細胞が獲得する薬剤耐性機構との関わりに注目し、OxPhos阻害剤IACS-101759添加後に生じる細胞間のミトコンドリア移動やミトコンドリア活性の変化を証明していく。AML細胞とMSC間のミトコンドリアの授受については、共焦点顕微鏡の他、電子顕微鏡を用いて詳細に検証する。また、ミトコンドリアの数的、質的変化についても電子顕微鏡を用いた形態学的評価の他、ミトコンドリアDNA量の変化やmitophagyの出現の有無、膜電位変化の検出など、遺伝子、蛋白レベルでの検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度にAML症例を増加して実施したCAGE解析によってこれまでの結果と異なり、細胞接着や細胞骨格に関わる遺伝子発現の変化が検出され、形態学的にもtunneling nano tubeの形成が観察されるなどの知見が得られたため、本年度実施予定であった遺伝子ノックダウン実験を次年度以降の計画に変更し、形態学的検討を優先して実施した。Extracellular Flux Analyserによる代謝動態解析は予定通り実施している。今後、電子顕微鏡解析やミトコンドリア形態、機能解析に進んでいく。また、in vivo実験も進めていく予定であり、これによって今回生じた次年度使用額は、適正に使用される。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] OxPhos inhibition induces formation of tunneling nanotubes in AML cells and facilitates mitochondrial transfer from BM stroma to AML that contributes to microenvironment-mediated drug-resistance of AML2019
Author(s)
Haeun Yang, Yoko Tabe, Kaori Saitoh, Kotoko Yamatani, Rodrigo Jacamo, Helen Ma, Vivian Ruvolo, Qi Zhang, Vinitha Kuruvilla, Natalia Baran, Junichi Imoto, Kazuho Ikeo, Kaori Moriya, Yuko Murakami-Tonami, Koya Suzuki, Takashi Miida, Michael Andreeff, Christopher P. Vellano, Joseph R. Marszalek, Marina Konopleva
Organizer
61th American Society of Hematology Annual Meeting
Int'l Joint Research
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[Presentation] Tunneling nanotubes formation as a mechanism of microenvironment-induced resistance to OxPhos inhibition in AML2019
Author(s)
Yoko Tabe, Haeun Yang, Kaori Saito, Rodrigo Jacamo, Helen Ma, Vivian Ruvolo, Junichi Imoto , Kazuho Ikeo, Kotoko Yamatani, Takashi Miida, Yoshihide Hayashizaki, Michael Andreeff, Joseph Marszalek, Marina Konopleva
Organizer
MD Anderson Cancer Center GAP 2019 conference
Int'l Joint Research / Invited
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