2018 Fiscal Year Research-status Report
ヘムオキシゲナーゼー1が造血幹細胞移植後治療成績におよぼす効果と新規治療戦略
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18K07442
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森下 英理子 金沢大学, 保健学系, 教授 (50251921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷内江 昭宏 金沢大学, 医学系, 教授 (40210281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / ADAMTS13 / HO-1 / 一塩基置換 / 移植片対宿主病(GVHD) |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的および方法】同種造血幹細胞移植後の予後不良の原因として移植片対宿主病(GVHD)を代表とする種々の移植後合併症が存在する。これらの病態には免疫応答の関与が考えられており、近年では免疫調節性非HLA遺伝子多型が移植後転帰に影響を与えることが明らかになってきた。中でも自己免疫疾患感受性に関与する遺伝子多型が同種造血幹細胞移植後転帰に影響するとの報告が相次いでいる。そこで、本年度は(1)von Willebrand因子(VWF)切断酵素であるADAMTS13の活性に影響するSNP rs2285489 (C>T)と、(2)関節リウマチをはじめとする複数の自己免疫疾患発症への関与が知られているFc receptor like 3 (FCRL3) SNP rs7528684およびB lymphoid tyrosine kinase (BLK) SNP rs13277113について、HLA一致非血縁間同種骨髄移植後転帰に与える影響について検討を行った。我々は以前のin vitroの検討にて、ヒト血管内皮細胞にHO-1を添加するとADAMTS13ぼ発現が亢進する結果を得ており、今回のSNP解析に用いた。 【結果】HLA一致非血縁間同種骨髄移植患者とそのドナー281ペアを解析対象とした。(1)ADAMTS13 SNP rs2285489患者C/C遺伝子型において再発率が増加し (hazard ratio 3.12; 95% confidence interval 1.25-7.77; P=0.015)、結果として無病生存率が低下した。(2) FCRL3 SNP rs7528684患者C/C遺伝子型において全生存率(OS)および無病生存の改善が、BLK SNP rs13277113ドナーG/G遺伝子型についてcGVHD発症率の低下が認められることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ADMTS13 SNP rs2285489と移植後再発率との関連については興味深い結果が得られ、英文誌にacceptされることができた点は、おおむね評価できる[Int J Mol Sci 2019 Jan 8:20(1)]。FCRL3とBLK SNPについても興味深い結果が得られたが、BLKの検討は現在140例程度なので、今後さらに症例数を増やして検討する必要がある。一方で、HO-1ノックアウトマウスを用いた実験が、動物実験室の改修工事のため遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
・HO-1の移植後合併症への関与の一部に、ADAMTS13が関与している可能性が考えられた。今後は、野生型またはADAMTS13遺伝子欠損マウスをドナーとして、急性GVHDモデルマウスを作成し、生着率、生存率を比較検討する。さらに、ADAMTS13製剤投与によるGVHD改善効果を検討する。 ・BLK SNP解析については、今後さらに症例数を増やして検討し、移植後合併症へのB細胞の関与を検討する。 ・HO-1はTregの発現を亢進させるので、GVHD発症の抑制に関与する可能性が考えられる。そこで、HO-1遺伝子欠損マウスまたは野生型をドナーとして、放射線照射ならびに末梢血幹細胞移植を施行し、血管内皮細胞障害の程度やGVHD、TMAの発症について比較検討する。さらには、移植前あるいは移植後にHO-1あるいはクルクミン(HO-1を誘導するウコンなどに含まれるポリフェノール化合物)を投与し、改善効果を認めるかどうかについて検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:今年度は、HLA一致非血縁間同種骨髄移植患者ならびにドナーのADAMTS13、自己免疫性疾患関連因子FCRL3やBLKのSNP解析を重点的に実施したため、計画していた動物実験が実施できなかった。動物実験の際の購入費ならびに飼育料が経費としてかからなかったため、次年度使用額が生じた。
次年度使用計画:我々のin vitroの検討では、血管内皮細胞にHO-1を添加するとADAMTS13の発現が亢進する。今回、vWF切断酵素であるADAMTS13のSNPと骨髄移植後合併症との関連性をあきらかにした点は極めて斬新である。次年度は、野生型またはADAMTS13遺伝子欠損マウスをドナーとして、急性GVHDモデルマウスを作成し、生着率、生存率を比較検討する。さらに、ADAMTS13製剤投与によるGVHD改善効果を検討する。したがって、マウスの購入費、飼育費、ADAMTS製剤購入費などの消耗品費用、結果について学会で報告するための学会参加費、旅費、などに使用する。
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[Journal Article] Recipient ADAMTS13 Single-Nucleotide Polymorphism Predicts Relapse after Unrelated Bone Marrow Transplantation for Hematologic Malignancy.2019
Author(s)
Nomoto H, Takami A, Espinoza JL, Onizuka M, Kashiwase K, Morishima Y, Fukuda T, Kodera Y, Doki N, Miyamura K, Mori T, Nakao S, Morishita E
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Journal Title
Int J Mol Sci
Volume: Jan 8;20(1)
Pages: ―
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Potential therapeutics for antiphospholipid antibody associated thrombocytopenia: a systematic review and meta-analysis.2018
Author(s)
Abe N, Oku K, Amengual O, Fujieda Y, Kato M, Bohgaki T, Yasuda S, Mori R, Morishita E, Suzuki-Inoue K, Atsumi T.
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Journal Title
Mod Rheumatol
Volume: Dec 17
Pages: 1-21
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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