2019 Fiscal Year Research-status Report
インスリン遺伝子特異的なエピジェネティック制御に基づく膵β細胞傷害の定量法の確立
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18K07448
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
黒田 暁生 徳島大学, 先端酵素学研究所(糖尿病), 准教授 (70571412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 美鈴 (山田) 徳島大学, 先端酵素学研究所(糖尿病), 徳島大学専門研究員 (90451690)
松久 宗英 徳島大学, 先端酵素学研究所(糖尿病), 教授 (60362737)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インスリン / 遊離DNA / PCR / bisulfite |
Outline of Annual Research Achievements |
一つの生命体を構成する細胞の遺伝子は全て同じ配列である。唯一インスリンを分泌することができる膵β細胞ではインスリン遺伝子のCpG配列というものが他の組織と異なり、脱メチル化状態である。このことを利用して膵β細胞特異的エピジェネティック修飾を組み込んだ二段階のamplification refractory mutation system (ARMS) による高感度PCR 法を用い、サンプル中の膵β細胞由来インスリン遺伝子を1 コピーから検出できる方法を開発した。まずはマウスを用いた基礎的な検討を行った。インスリン遺伝子のエクソン内の膵β細胞特異的エピジェネティック修飾を用いたPCRによって膵β細胞を傷害する作用のあるSTZ投与したところ、膵β細胞由来のインスリンを検出することを確認できた。一方でヒトでの検討では1型糖尿病患者100例中20例で陽性を認め、健常者では22例中8例で陽性であった。健常者で陽性が多く認められたためPCR効率および全体のDNAのコピー数で補正した計算方法で再検討している。 多施設共同研究に広げるはじめの一歩として大阪大学医学部附属病院での倫理審査委員会の承認も得た。今後徳島大学病院のみならず、大阪大学においても1型糖尿病の発症前の早期診断のみならず膵臓・膵島移植後の臓器傷害を検出できる準備は整っているが脳死ドナー、レシピエントがなく検査ができていない状態である。 本PCR方法はインスリン産生細胞以外の細胞でも同様に検出することが可能である。つまり細胞特異的に脱メチル化状態である遺伝子を検出する。血管内皮細胞においてはROBO4遺伝子を、脂肪細胞においてはPPARγ遺伝子を、筋肉細胞においてはCaveolin3遺伝子のCpG配列を調査してそれら細胞の特異的な検出のためのプライマーを作成し、特に血管内皮細胞由来ROBO4遺伝子の検出と頸動脈エコーで評価した動脈硬化との間に正の相関を得ている。このように簡易な手法により様々な細胞傷害を検出できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵β細胞特異的エピジェネティック修飾を組み込んだ二段階のamplification refractory mutation system (ARMS) による高感度PCR 法を用い、サンプル中の膵β細胞由来インスリン遺伝子を1 コピーから検出できる方法を開発した。この方法ではbisulfiteで処理した膵β細胞DNA配列1コピーを検出するのは、bisulfiteで処理した非膵β細胞DNA配列1000000コピーを検出するのと同等の検出力である。 まずはマウスを用いた基礎的な検討を行った。インスリン遺伝子のエクソン内の膵β細胞特異的エピジェネティック修飾を用いたPCRによって膵β細胞を傷害する作用のあるSTZ投与したところ、膵β細胞由来のインスリンを検出することを確認できた。 次にヒトでの検討では対象から同意を得たうえで採血を行い、DNA を単離抽出して本PCR を施行した。1 型糖尿病患者100例中20例で陽性、発症2 か月以内の症例で強陽性であった。健常者22例中8例で陽性となった。いずれのサンプルもDNA sequence によりPCR の正確性は確認できている。臨床結果と比較検討したところインスリンDNAが陽性であることはHbA1c高値と有意な相関を認めたが、残存インスリン分泌能や罹病期間などとは相関を認めなかった。Diabetesへ投稿したが健常人の陽性例が多いことを理由に不採用であり、PCR陽性についての再検討を行っている途上である。 この方法を多施設共同研究に広げるはじめの一歩として、大阪大学医学部附属病院での倫理審査委員会の承認を得ており、1型糖尿病の発症前の早期診断のみならず膵臓・膵島移植後の臓器傷害を検出することも準備はできている。
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Strategy for Future Research Activity |
同様な検討を行っている研究機関からの報告では1型糖尿病の膵β細胞の検出は発症2か月までであると報告されている。このため家族内発症もまれに認められる1型糖尿病患者の近親者から採血を行うことを検討している。多施設共同研究としては大阪大学との共同研究となっており検体数を増加させるのみならず、組織的な傷害がより加わると考えられる膵臓移植、あるいは膵島移植の現場においても検体を得てその血中動態を検討する。 本PCR方法はインスリン産生細胞以外の細胞でも同様に検出することが可能であり、血管内皮細胞、脂肪細胞、筋肉細胞、腎細胞の組織特異的な蛋白質のCpG配列を調査してそれら細胞の特異的な検出の系を立ち上げており、当院における倫理審査を承認され(ToCMS 3106-1)、患者血清を用いてデータ収集および臨床データとの比較を行っている。
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Causes of Carryover |
3月に納品されたが支払いが4月になったため
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Research Products
(2 results)