2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of disease progress by platelet-bacterial antigen complex.
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18K07449
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森本 徳仁 高知大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (60398055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上岡 樹生 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (00274374)
松村 敬久 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (10274391) [Withdrawn]
西田 愛恵 高知大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (30600796)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔内常在菌 / 細菌抗原 / 自己免疫疾患 / 冠動脈疾患 / 慢性持続感染 / 血小板活性化 / 血小板-抗原抗体 複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
冠動脈疾患や自己免疫疾患の発症機序として、常在菌が関与する血小板活性化および血小板-抗原抗体複合体形成の関与を明らかにし、これらの疾患の進展において、宿主への常在菌の長期間の持続的定着から生体内への菌抗原の侵入、抗体産生および血小板との結合(凝集・活性化等)の関与を解明することを目的として研究を行っている。 本年(平成30年)度は、ボランティアから得られた口腔内常在菌の分離・同定および保存を行い、採血によって得られた血小板・血清中の常在菌に対する抗体の検索および血小板凝集の解析を行うスケジュールとしていた。ヒト口腔内常在菌の抗原および血小板等との関連性を検討する上で、歯間ブラシを用いて口腔内の常在菌を採取し、分離培養を行う必要がある。特に培養に関しては、適正な培地を用いなければ細菌(特に嫌気性菌)の分離が不可能であること、口腔内には多くの細菌が存在していることからも分離培養の良否は研究結果に重要な影響を有することから、まず培養に関する予備実験を行った。その結果、変法CDC嫌気性菌用ヒツジ血液寒天培地およびアネロコロンビアRS血液寒天培地を併用することで幅広く口腔内常在菌を網羅することが可能となり、菌名決定を行うこともできた。また、血清および血小板表面と反応性を有する細菌抗原を決定するために、菌抗原の調整法についても従来のソニケーターを用いた菌破壊による菌抗原を得ることが可能となった。 今後は、ボランティアを募り、採取した口腔内常在菌を用いて上述した方法により分離培養・同定および保存を行いつつ、採血によって得られた血清および血小板と分離された菌株との反応性の解析を始める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理委員会への申請が完了し、採血等に関する保険加入の手続きも完了したところであり、これからボランティアから採血および口腔内常在菌のサンプリングを始めるところである。ヒト口腔内常在菌の抗原および血小板等との関連性を検討する上で、歯間ブラシを用いて口腔内の常在菌を採取し、分離培養を行う必要がある。主に嫌気性菌が多く分離される可能性が高く、種々の培地を組み合わせて培養することが必要となる。現段階において入手できる5種類の嫌気性菌用培地(GAM寒天培地、ブルセラHK寒天培地(RS)、BBE寒天培地、変法CDC嫌気性菌用ヒツジ血液寒天培地およびアネロコロンビアRS血液寒天培地)を用いて検討を行い、最も効率よく的確に嫌気性菌を検出できる培地の検討を行った。その結果、1個体より概ね15菌種の細菌が分離されそのうち嫌気性菌が10菌種と半数以上を嫌気性菌が占めることを確認した。そこで、変法CDC嫌気性菌用ヒツジ血液寒天培地およびアネロコロンビアRS血液寒天培地を併用することでこれらの嫌気性菌をすべて網羅することが可能となる。これらの培地に発育した菌については、全て16S-rRNA遺伝子の相同性検索により菌名を決定する事ができた。また、血清および血小板表面と反応性を有する細菌抗原を決定するために、whole lysateを作成する必要があるが、これらは従来から行ってきたソニケーターを用いて菌を破壊することで得ることができた。SDS-PAGEによる分離も問題なく行えることも確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ボランティアを募り、採取した口腔内常在菌を用いて上述した方法により分離培養・同定および保存を行いつつ、採血によって得られた血清および血小板と分離された菌株との反応性の解析を始める。 健常人の口腔から得られた常在菌菌体のWhole lysate をSDS-PAGEにより蛋白分離した後、メンブレンに転写し、該当する被験者血清および血小板多血漿(以下PRP)より作製した血小板溶解液を抗体(PA-IgG)としてimmunoblotを行い、血小板表面に存在する常在菌に対する抗体の検出を行う。 常在菌による血小板凝集の解析には、ソニケーターにより破砕した各菌のwhole lysateで、全血およびPRPを用いた血小板凝集能を解析する。通常のPRPによる血小板凝集に加え、全血血小板凝集の解析を行うことにより、血栓症を視野に入れた臨床的検査として赤血球や白血球といった他の血球成分の影響を観察する。
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Causes of Carryover |
本年(平成30年)度は、ボランティアから得られた口腔内常在菌の分離・同定および保存を行い、採血によって得られた血小板・血清中の常在菌に対する抗体の検索および血小板凝集の解析を行う予定であったが、研究の進行に遅れが生じたため試薬および機器の購入が所定の予定より少なくなったため次年度使用額が生じた。次年度からは、主に蛋白解析を重点的に行う予定であり、解析に必要となる試薬および装置の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)