2018 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子検査におけるcfDNAの品質管理と品質チェックシステムの構築
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18K07451
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
佐藤 明美 佐賀大学, 医学部, 助教 (20568357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末岡 榮三朗 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270603)
中村 秀明 佐賀大学, 医学部, 助教 (10452616)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | cfDNA / 品質 / 保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
cfDNAに最適な抗凝固剤の検討及び採血後処理までの時間と温度の検討 健常人の採血をいくつかの抗凝固剤によって行い、その後血漿分離までの時間・温度を変え、cfDNAを抽出し、DNAの濃度やサイズ分布を確認し、最適な条件の検討を行った。結果、EDTA 2Kを含有するものよりも3.2%クエン酸ナトリウムを含有する採血管の方が良好であり、採血後72時間まで4℃で保存して維持され、細胞安定化採血管による結果と同等であった。がん患者でも症例数は少ないが同様の結果を得られた。 長期保存における最適な保存検体の検討 過去に手動DNA抽出により採取された血漿DNAの中で EGFR T790M変異を有する検体が7年間 -20℃で保存され、遺伝子検査に耐えうるのかDNAでの品質劣化を検討した。7年間保存したcfDNAの分析は、低い対立遺伝子頻度(AF)を有する試料が、高いAFを有する試料よりも容易に悪化することを示した。さらに長期間-80℃に保存した血漿からDNAを抽出して遺伝子検査し、DNAで保存した結果と比較することで血漿保存とcfDNA保存でどちらが適しているか検討した。同じ保存期間と抽出方法にもかかわらず、7年間保存された血漿のAFはcfDNAのそれより著しく低かった。しかしながら、長期プラズマ貯蔵による劣化は、DNA抽出方法をシリカ膜スピンカラムからセルロース磁気ビーズシステムに変更することによって克服された。これらの結果をまとめて、論文・学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までcfDNAに最適な抗凝固剤として実臨床で使われているものの中から選択し、最適な採血後の処理までの時間・温度の検討ができた。また、現在、Liquid biopsy検体のNGSで使用されている細胞安定化採血管との比較も行った。今回検討した条件がこの採血管と同等であることも確認したので実際3.2%クエン酸ナトリウムを含有する採血管より回収されたcfDNAがNGSにどれくらい適しているのかを検討準備に進んでいる。 次に7年間ではあるが保存されたcfDNAの品質劣化をとらえることができた。これらの品質劣化は検体それぞれによって程度は異なっている。またcfDNAの抽出の仕方でも品質は異なることが示唆された。これら事より、cfDNAの保管はどのような状態でどのくらい保存が可能であるかを検討し、ここまでのところで論文にまとめ、学会発表もできたので順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遺伝子検査をNGSにしぼり、NGSに適するcfDNAの品質を検討したいと考えている。 cfDNAの保存期間による影響 長期間-20℃に保存したEGFR T790M変異を有するcfDNA検体についてはMBP-QP法によるT790M検査に加えて、DNAサイズ分布の解析をバイオアナライザにて行う。バイオアナライザではサイズ分布だけでなく、塩基の長さによって領域を設定し、その領域の濃度を解析することができるので、1000bp以下のサイズ分布、さらにPCR不可能な50bp以下のDNA濃度のプロファイルを作成する。(品質劣化プロファイル) これらの検体を用いてNGSライブラリを作成する。NGSライブラリと品質劣化プロファイルとの関係を明らかにする。変異の有無にかかわらず、DNAについてもサイズ分布・濃度とNGSライブラリ成功の有無との関係性も明らかにする。 cfDNA抽出法の検討 現在cfDNAのNGSにむけて血漿量を増やしDNA抽出が行われている。これまでは1ml血漿からDNA抽出での最適化を行ってきたので、NGSに最適な血漿量や最終濃度を明らかにする。cfDNA検体になるまでの過程、採血・血漿分離・血漿DNA抽出においても最適条件を深く検討し、今後の遺伝子検査に耐えうる検体を採取し、保存するシステムや保存検体を利用するとき再度品質をチェックできるシステムはない。NGSについては品質チェックを行うことが事前にできれば、無理にNGSにトライするのではなく、よりその検体にあった検査を行い、貴重な検体を無駄なく使う
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