2018 Fiscal Year Research-status Report
Processing of crude drugs - The mechanism of the appearance of immunostimulatory activity by heating with honey
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18K07453
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
太田 美里 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 研究員 (00767121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 利明 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (80326561)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蜜炙 / 蜂蜜 / 加熱 / G-CSF / 免疫賦活作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では生薬の修治法の一種である蜜炙(蜂蜜と共に加熱する加工)により、免疫賦活作用が向上することをG-CSF (granulocyte-colony stimulating factor) の産生を評価するin vitro実験系を構築して検証した結果、以下が明らかになった。(1)蜜炙による免疫賦活作用は、添加した蜂蜜が一定条件下で加熱されることで発現する。(2)加熱処理した蜂蜜中の活性本体は、glucose、galactose、rhamnoseの他、蜂蜜を加熱殺菌する時に生じる 5-hydroxymethylfurfural(5-HMF)と、新規化合物であるα-ribofuranose β-ribofuranose 1,5’:1’,5-dianhydrideから成る平均分子量約73万の高分子化合物である。(3)加熱処理蜂蜜の作用は、トール様受容体(TLR)2/4阻害剤であるsparstolonin Bにより部分的に失われたことから、蜂蜜はTLR2、TLR4のどちらか、あるいは両方を刺激することが推測された。(4)日本市場品の蜂蜜に比して中国市場品では高い免疫賦活活性の出現を認めた。(5)活性の出現には、蜂蜜の主含有成分であるglucoseとfructoseの含量及びその比率との相関関係は認められず、微量糖の関与が示唆された。(6)In vivo実験系では、化膿レンサ球菌をマウスに接種したときの感染死に対して、あらかじめ加熱処理蜂蜜を経口投与することにより、有意な延命が認められた。 以上の結果は、中国伝統医学において、補脾・補気作用(現代医学では消化管免疫賦活作用と翻訳できる)を増強させることを期待して蜜炙法を採用した科学的な根拠となりうるものであり、臨床現場にも医薬品情報として提供できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H30年度は当初の予定通り、加熱処理蜂蜜由来の免疫賦活活性成分の単離に成功し、その化学構造の解明を行った。活性成分は平均分子量約73万の高分子化合物であったため、同定できたのは部分構造のみであったが、構成成分に新規化合物(α-ribofuranose β-ribofuranose 1,5’:1’,5-dianhydride)も含有することが明らかになった。 また、H31年度に行う予定だった中国および日本産蜂蜜の免疫賦活活性の比較、活性に関与する成分の探索及び作用機序の解明をH30年度に前倒しで行った。その結果、中国市場品の蜂蜜では日本市場品に比して高い免疫賦活活性を認めた。また、その活性出現には蜂蜜の主要含有成分であるglucoseとfructose以外の微量糖の関与が示唆された。作用機序に関してはTLR2、TLR4のどちらか、あるいは両方を刺激することが推測されたが、更なる研究が必要である。 一方、H30年度からin vivo実験系の構築を行う予定であったが、化膿レンサ球菌の感染に対する延命作用を検証したのみで、実験系の構築には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れているin vivo実験を進めるために、H31年度から新たに大学院生1人の協力を得ることにする。また、in vitro実験については、H30年度に引き続き、免疫賦活作用出現に関与する蜂蜜中の成分の同定、活性成分が多く産生される条件の検討、作用機序の解明を中心に進めていく。本研究で明らかになった知見は医薬品情報として随時、臨床へ情報提供していく。
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Causes of Carryover |
H30年度は研究費を要するin vivo実験系の構築が進まなかったため、その費用は次年度に回して実験動物購入飼育費として使用したい。また、H30年度は細胞培養維持に関する消耗品のストックがあったが、次年度は新たに購入予定である。
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Research Products
(6 results)