2019 Fiscal Year Research-status Report
シナプス可塑性の個人差評価によるストレス関連疾患の治療反応性予測
Project/Area Number |
18K07459
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
関口 敦 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, 室長 (50547289)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ストレス関連疾患 / 脳画像 / 認知介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、ストレス関連疾患(PTSD、心身症、摂食障害など)において、疾患横断的に、疾患の枠組みを超えて治療のターゲットとなりえる認知的特徴や心理的指標、行動指標ごとに特異的な脳内情報処理や脳神経回路ダイナミクスの異常が存在するのではないかとの『問い』を設定し、脳画像研究の手法を用いて検証している。具体的には、ストレス関連疾患の疾患横断的な脳画像収集を行い、海馬・扁桃体を基軸とした神経回路の異常が、ストレス脆弱性に関連している可能性を検証している。 2019年度までに、ストレス関連疾患群(PTSD、心身症)および健常群の脳MRIデータ収集は順調に進んでおり、延べ103例のデータ収集が完了した。安静時脳活動データを用いた予備的な解析においても、海馬をシードとした機能的脳結合において、疾患群と健常群で差異が認められ、仮説を支持する結果が得られている。 更に、特定された神経回路の修復が期待できる治療に関して、治療反応性予測因子を特定するための研究を行う計画である。短期的な経頭蓋刺激または認知的刺激介入によるシナプス可塑性の個人差が、精神疾患やストレス脆弱性の危険因子への治療反応性予測因子として活用する可能性を探ることを目指している。 2019年度は、刺激方法についての検討をし、シナプス可塑性を誘導するための刺激法として、認知刺激介入を採用した。認知訓練介入による予備的結果であるが、健常者10名の介入効果の個人差と、眼窩前頭皮質と島皮質の機能的結合との神経相関が存在することが示唆されている。シナプス可塑性の個人差をの存在を示唆する結果であり、次年度も引き続き認知的介入によるシナプス可塑性の個人差の特定を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳画像データ(安静時脳活動)を用いた予備的な解析において、海馬を基軸とした機能的脳結合において、疾患群と健常群で差異が認められ、仮説を支持する結果が得られている。また、シナプス可塑性の個人差も、認知刺激介入により解明できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して、ストレス関連疾患及び健常群の脳画像データの収集を継続する。疾患群のみの解析にとどまらず、健常スペクトラムで検証できる認知・心理・行動特性についても評価を進めていく。 シナプス可塑性を誘導する刺激方法については、認知刺激介入を先んじて進めていく方針としている。
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Causes of Carryover |
2019年度に研究補助員の雇用を予定していたが、脳刺激実験ではなくて認知刺激介入に介入方法を変更したため、現行のメンバーでの実験実施が可能となったため。
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