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2018 Fiscal Year Research-status Report

Redox status of apolipoprotein E and its pathophysiological significance

Research Project

Project/Area Number 18K07461
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

山内 一由  筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70419414)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsapolipoprotein E / レドックス変化 / システイン / アルツハイマー病 / 動脈硬化症
Outline of Annual Research Achievements

蛋白質を構成するCys-thiol基のレドックス変化は多彩な生理機能を担う翻訳後修飾であり、apoEにおいても病態生理学的に重要な意義を持ち、その評価は発症にapoEが関与する動脈硬化症やアルツハイマー病の病態メカニズムの解明に繋がると考えられる。Cys-thiol基に特異的に結合するMaleimide化合物を用いたバンドシフトアッセイにより、還元型apoE (r-apoE)と非還元型apoE (nr-apoE)とともに、homodimerおよびapoAIIとの複合体であるapoE-AII complex (E-AII)を検出し、これらの血清リポ蛋白における分布の差異を検討した結果、r-apoEとnr-apoEはVLDL分画に、E-AII はHDL分画に優位に存在していることを明らかにした。保存に伴う酸化の影響に対しても差異が認められ、経時的にVLDLではr-apoEの減少とnr-apoEの増加が認められたのに対し、HDLではr-apoEの減少に伴いnr-apoEではなくE-AIIとhomodimerの増加が認められた。これらの結果から、E-AII とhomodimerは酸化ストレスに対して重要な意義をもつ可能性があると考え、apoEのレドックス変化の臨床的意義を明確にするという本研究の目的からも、先ずはこれに焦点を絞るべきであると考え、当初の計画を変更して実験を進めた。その結果、E-AII とhomodimerは互いに動的平衡を保つことでapoEの不可逆的な酸化を防いでおり、その効果はHDLのようにapoAII-richな条件下で顕著であることを明らかにし、論文報告した(Bioscience Reports, 2019, DOI: 10.1042/BSR20190184)。この知見は、apoEが関与する疾患の病態メカニズムを明らかにしていくうえで重要であると考える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初、apoE のレッドクス状態を定量的に解析する方法として、Maleimide (Mal) にDNA (オリゴヌクレオチド) を付加したDNA-MalとFITCで標識した相補的 DNAプローブを反応させるDNAハイブリダイゼーション法の確立を試みたが、十分な感度と精密性を得ることが出来なかったため、代替法として予め考えていたMal化合物を用いたバンドシフトアッセイにより解析を進めた。また、血清リポ蛋白を用いた基礎実験の過程で、apoE のレドックス変化の臨床的意義を明確にするためにも、apoE のレドックス状態の維持に apoE のジスルフィド結合複合物が関与していることを実証する必要があると考えるに至り、その実験を優先させて遂行してきた。そのため、健常者と患者の血清を用いた解析については予定していた数を若干下回ってはいるが、E-AII と homodimerが apoE のレドックス状態の維持調節に関わっていることを明らかにしたことは、今後、得られた解析結果に対して的確な臨床的評価を下し、apoE が発症に関与する疾患の病態メカニズムを解明していくうえできわめて意義深く、本研究の発展に繋がると言える。加えて、当初の計画より早期に研究成果を論文発表(Bioscience Reports, 2019, DOI: 10.1042/BSR20190184)することができたことも大きな収穫であった。解析試料のストックは順調に進んでおり、今後滞りなく解析を進めることが可能であることから、当初の研究計画を変更せざるを得なかったものの、全体的にはほぼ順調に研究は進んでいると言える。

Strategy for Future Research Activity

健常者および患者血清の解析を行い、r-apoE、nr-apoE、E-AII、およびhomodimerそれぞれの基準値を設定し、これを指標に患者データの臨床的評価を進める。また、これと並行して、患者データが示唆する臨床的意味を的確に捉えていくために必要なapoEのレドックス状態に関する基礎的な情報の集積にも努めていく。特に、E-AII と homodimer が apoE の不可逆的酸化を防いでいることを実証する過程で(Bioscience Reports, 2019, DOI: 10.1042/BSR20190184)、不可逆的な酸化型apoEであると予想していたnr-apoE の大部分は、実は可逆的な酸化状態にあり、酸化ストレスに反応してその存在様式を変化させながら、E-AII や homodimer と同様に apoE のレドックス状態の維持調節に関与していることを示唆する結果が得られたことから、nr-apoE の Cys-thiol 基の修飾状態の同定は本研究の肝となると考えている。加えて、apoE アイソフォームによる違い、すなわち、分子内にCys基を1つもつ apoE3 (Cys158)と2つもつ apoE2(Cys112/158)それぞれの Cys-thiol 基の酸化ストレスに対する反応性と修飾状態の違いを比較検討していくこともapoEのレドックス状態の臨床的意義を明確にしていくうえできわめて重要であると考えている。apoE 関連疾患の発症リスクにみられる apoE アイソフォームに差異の原因を明らかにし、病態メカニズムに迫るためには必須だからである。したがって、当初の計画として挙げていた「apoE のレドックス状態が分泌とコレステロール effluxに及ぼす影響に関する解析」に優先させてこれらの実験に注力する計画である。

Causes of Carryover

血清リポ蛋白を用いた基礎実験の過程で、apoE のレドックス状態の維持にapoE のジスルフィド結合複合物が関与していることを示唆するデータが得られ、これを確認する実験を優先させて遂行してきたため、予定していた健常者と患者の血清を用いた解析に充当する経費が繰り越されることになった。しかしながら、健常者と患者の血清を用いた解析は当初の計画通り遂行していくため、繰越金をこれに充てて本解析を完了する。また、英文誌掲載料が年度をまたいで請求されるため、これに繰越金の一部を充当する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Redox equilibrium of serum apolipoprotein E3: A buffering effect of disulfide-linked complexes against oxidative stress on apolipoprotein E3-containing lipoproteins2019

    • Author(s)
      Yamauchi Kazuyoshi、Iwasaki Shio、Kawakami Yasushi
    • Journal Title

      Bioscience Reports

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1042/BSR20190184

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 大学と病院をつなぐ多職種連携医療専門職養成プログラムの成果2018

    • Author(s)
      會田雄一、山内一由、関本道治、真家紘一郎、二宮治彦
    • Organizer
      第67回日本医学検査学会
  • [Presentation] 履修証明プログラム「多職種連携メディカルスタッフ教育プログラム」の普及とコンテンツ更新に関する課題2018

    • Author(s)
      會田 雄一、服部 圭一朗、 真家 紘一郎、 関本 道治、 山内 一由、二宮治彦
    • Organizer
      第11回日本保健医療福祉連携教育学会学術集会
  • [Presentation] 臨地実習後の項目別自己評価:OSLE客観評価との関連性の検討2018

    • Author(s)
      服部圭一朗、會田雄一、真家紘一郎、山内一由、森川一也、中川嘉、吉田文代、小池朗、二宮治彦
    • Organizer
      第13回日本臨床検査学教育学会学術大会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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