2019 Fiscal Year Research-status Report
加齢性筋骨連関の制御に向けたホルモン作用機構の解明と治療への応用
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18K07463
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 純人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20323579)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者のフレイルは、加齢に伴う身体機能や認知機能の低下をはじめ、様々な原因・背景によって引き起こされ、漢方医学における虚証とも関連していると考えられている。また、フレイルは臨床的にも要介護リスクの増加に加えてADL・QOLや生命予後にも大きな影響をもたらす可能性が示されてきている。また、フレイルの中核的な要素にサルコペニアが挙げられる。その一方で、加齢に伴う骨格筋と骨との相互連関とその破綻の可能性やサルコペニア・骨粗鬆症間の病態関連性については未だ十分な解明に至っていない状況であり、サルコペニアの予防・診断・治療法の開発が待たれる。本研究課題においては、サルコペニアの病態や筋骨連関の解明に向けて、昨年度に引き続き漢方薬の中の補剤の抽出物・成分等についてサルコペニアに対する抑制・制御作用やそれらの可能性について引き続き検討、検証した。その結果、漢方薬補剤の成分の中には、ユビキチン-プロテアソーム系を介した筋タンパク分解抑制作用やサルコペニアに対する制御作用を有している可能性が、モデルマウスや細胞系を用いたin vivo、in vitroの実験やそれに伴う免疫染色、real-time PCR等の手法を用いて示された。引き続き、サルコペニアや老化関連のモデルマウスを用いた解析などを通じて、漢方薬補剤とその成分を含めた骨格筋や骨に関する代謝制御作用やそれらの可能性について更なる解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サルコペニアの病態や筋骨連関の解明に向けて、一部の漢方薬補剤や同抽出物・成分、核内受容体リガンドなどの介入や導入による表現型や発現機能解析により、サルコペニア抑制効果が示唆されてきており、計画は概ね順調に推移していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、サルコペニアの病態や筋骨連関の病態解明に向けて、一部の漢方薬補剤や同抽出物・成分や核内受容体リガンドなどの薬剤効果やその作用メカニズムについて更なる解明を進める。引き続き、バイオマーカーの探索を含め、サルコペニアの予防・診断・治療法の開発や筋骨連関を考慮した新たな予防・治療や創薬基盤の構築を目指すとともに、学会・論文等での発表につなげたい。
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