2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K07466
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩部 裕香 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教 (30738266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 竜一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (40291439)
中神 啓徳 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (20325369)
島村 宗尚 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (60422317)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 複合糖質ワクチン / 免疫 老化 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖脂質を形成する糖鎖構造は抗原性をもつことを利用し、複合糖質を標的とする糖鎖医薬を合成して治療法の開発に応用することを考えた。免疫グロブリンIgGは重鎖および軽鎖からなる糖蛋白質であり、多様な糖鎖は重鎖の定常領域に存在している。IgGの定常領域の N 結合型糖鎖構造を解析することで、テロメアよりも優れた老化マーカーになることが報告されている。これらの報告をもとに、IgGのFc-N 結合型糖鎖は IgG-G2 (シアル酸付加) 構造だと抗炎症反応を、また IgG-G0 (シアル酸欠失) 構造だと炎症反応を亢進させることが推定される。慢性炎症に至る初期ステージや、低度の炎症疾患であるとされる老化への予防においても糖脂質抗原は良い標的となる。本研究では、自己免疫疾患患者の血清IgG上の糖鎖構造の変化はその病態に深く関与しているといわれているため、まずは老齢変異型とされる自然発症免疫疾患マウスモデルをターゲットとし、その特異的に応答する免疫システムの解明と、糖脂質ワクチンの開発を行うことを目的とした。 初年度は、慢性炎症の糖鎖マーカーとされる、特異的な糖脂質抗原を設計しBalb/cマウスに免疫し観察をおこなったところ、免疫したマウスで高い抗体価を示した。また自己免疫疾患モデルマウスである2種類の系統、NZBWF1マウスおよびMRL/lprマウスに3回免疫し、抗体価はワクチン群にて2回目以降の投与から上昇を示したが、無投与群と比較して体重、死亡率に影響は見られなかった。すなわち、NZBWF1マウスおよびMRL/lprマウスにおける効果の差異を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己免疫疾患や老化において、病態特異的な糖鎖構造がいくつか明らかになっている、これらの原因抗原を除去するような糖脂質ワクチンを合成しマウスモデルでの薬効評価を行った。ただし、明らかな病態の改善や進行は見られていない。この結果は、糖鎖構造の僅かな変化が及ぼす病態への影響を考えたとき、観察期間が不十分な可能性がある。そこで、観察期間や投与量などの検討と、ワクチン投与前後のマウスの血清IgGの糖鎖構造を詳細に解析したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫グロブリンIgGのN結合型糖鎖構造の変化だけではなく、老化や血液疾患に関与しているそのほかの糖鎖構造についても網羅的に探索する。
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Causes of Carryover |
次年度は初年度の結果に基づき、より詳細な解析とメカニズムを追及したい。
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Research Products
(3 results)