2021 Fiscal Year Research-status Report
在宅医療における看取りを可能とする医師-患者-家族コミュニケーションに関する研究
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18K07475
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
木村 琢磨 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50722154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 恭子 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (40365987)
石川 ひろの 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40384846)
千葉 宏毅 北里大学, 医学部, 講師 (90713587)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 訪問診療 / コミュニケーション / RIAS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のデータは、質問紙票によるデータと訪問診療時の音声データから成るが、2021年度はデータ収集を全て終了し、データ解析を開始した。 質問紙票によるデータは、2020年度に未回収のデータ(医師を対象とした患者基礎データに関する質問紙票、医師を対象とした訪問直後の質問紙票)の収集を完了した。さらに、2020年度に回収済みであったデータ(患者を対象とした質問紙票、診療に同席した家族を対象とした質問紙票)を含む、全4種類のデータの入力作業を行い、データクリーニングを終了した。 訪問診療時の音声データについては、医療コミュニケーション研究の標準的なツールであるThe Roter Interaction Analysis System(RIAS) で量的分析(発話に区切り、医療面接における機能コードにコーディングする)を行うための作業を行なった。第一に、これまで存在していない、訪問診療時の医師、患者、同席した家族の各々の音声データをRIASでコーディングするためのオリジナルコード(在宅コード)8つを開発した。第二に、旧来のRIASコードと、開発した8つのオリジナルコードを用いて、実際の訪問診療時の音声データ10個を2名の研究者が独立して解析した。そして、8つのオリジナルコードを解析で使用する上での妥当性を検証し、2名の研究者間での一致率が高いことを相関係数で確認した。現在、本解析として、残りの音声データの解析を継続中である。 以上に加え、今後、RIASによるコーディングを説明変数とし、患者とその家族側のアウトカムについて分析をするための基礎資料とするため、RIASによる医療面接の会話分析に関する総説2編を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、新型コロナウイルス感染症による影響を多大に受け、その進捗状況が遅れている。 第一に、新型コロナウイルス感染症による影響で、訪問診療の機会自体が減少したことが挙げられる。訪問診療では、一般に月2回、訪問する患者が多いが、医師と患者の接触機会を減らすため、月1回の訪問と、月1回の電話などによる診療が、中央社会保険医療協議会においても認められた。そのため、本研究のデータである「訪問診療中における会話」データを収集する機会が約半分に減少し、データ収集は、2020年度来、遅延していた。 第二に、新型コロナウイルス感染症に関連して、各研究者ならびに協力施設の医師の業務が多忙(クラスター の発生を含む)となり、とくに訪問診療を行った医師自身によるデータシートの記載が遅延し、その回収が大幅に遅れていた。当初の予定より1年以上、遅れたものの、2021年度に回収が完了した。 第三に、これまで存在していない、訪問診療時の音声データをRIASでコーディングするためのオリジナルコード(在宅コード)の開発には、複数の研究者間でホワイトボードや紙媒体へマッピングしながら作業を行う必要があり、web会議と共に、対面でのディスカッションが不可欠であった。しかしながら、各々の施設における学内規定(緊急事態宣言、蔓延防止等重点措置の期間以外も含む)で越県が不可能であった期間や、子育て世代である複数の研究者が保育園や学校の休園・休校の影響を受けたことも相まって、多大な時間を要した。 以上により、本研究の進捗状況は遅れている現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のデータ分析は、新型コロナウイルス感染症による影響を多大に受け、大幅に遅れている。 2021年度は、2020年度に未回収であった、訪問診療を行った医師による質問紙票を回収できたことは有用であった。また、対面でのディスカッションに大幅な制約があったにもかかわらず、これまで存在していない、訪問診療時の音声データをRIASでコーディングするための8つのオリジナルコード(在宅コード)を開発することができ、実際の音声データで使用し、その妥当性を確認することができた。その上で、2名の研究者間で独立して解析し、その一致率が高いことを確認し、音声データの本解析を開始することができた。 次年度、音声データの本解析を終了し、本研究の成果を見出すべく、当初の予定通り、訪問診療の会話内容:RIASによるコーディングを説明変数とし、患者とその家族側のアウトカム:患者中心性、理解度などについて分析をすすめ、データの公表(学会発表、論文執筆)を行うべく、研究者全員、総力を挙げ取り組む所存である。しかしながら、協力施設の医師、研究代表者などは臨床業務を行なっており、今後も新型コロナウイルス感染症による影響を多大に受けることが懸念される。その状況を見つつ、コロナ禍であることをふまえ、やむを得ず更なる研究期間の延長も検討する。
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Causes of Carryover |
本研究においては、新型コロナウイルス感染症の影響を主要因に、データ収集が遅延した。データ収集は完了し分析中である。 今後、音声データの解析後にデータ分析を行い、さらにデータの公表(論文作成を含む)を行う所存である。 この状況を見つつ、その際、必要に応じて残金を使用する予定である
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Research Products
(2 results)