2022 Fiscal Year Research-status Report
老年期にある高血圧患者の、認知機能保持のための至適血圧の解明
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18K07489
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
清水 敦哉 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 部長 (50345914)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高血圧管理 / 認知機能保持 / 高齢者 / 大脳白質病変 / フレイル / 左室拡張障害重症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、対象者を加齢性脳変性である大脳白質病変重症度に基づいて層別化し、患者群ごとの高血圧管理状況と認知機能との関係性を追跡することによって、認知症の発症と悪化を予防し得る至適血圧域を明らかにすることを目的として、縦断追跡を継続中である。対象患者を当施設循環器科定期通院患者として登録を進めたが、COVID19蔓延により途中脱落症例が予想を上回りそうな状況となったため、初期設定した登録期間を延長し解析可能症例数の確保を優先する計画へと変更した。その結果、2021年度追跡終了時点で160症例のデータが最終解析対象と確定した。 【最終解析結果】 対象者は本申請研究登録者。症例数は157、女性が88名(56%)、年齢は平均69.6歳であった。観察期間は平均4.6年であった。大脳白質病変の変化割合を中央値で2群(増大群n=78:1.08±0.92ml/year、安定群n=79:-0.0028±0.20ml/year)に分類した。共変量を、欧米の学会でHFpEFの判定基準となっているE/e’、e’、TRflow、LAVIの4項目のほか、生理検査項目であるLVEF、baPWV、IMT、ABPMから得られた平均収縮期血圧(それぞれ総合、日中、夜間)、血液検査結果からBNP、HbA1c、eLDL-C、eGFR、他に性別、BMIとして、二項ロジスティック回帰分析を行った。その結果、変数として左室拡張障害重症度指標であるE/e‘のみが有意であり、判別的中率は62.0%であることが明らかとなった。本結果より左室拡張障害重症度は大脳白質病変増悪の予測因子であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の申請段階で、国立長寿医療研究センター・循環器内科へ定期通院している80症例を対象としたデータを確保していた。研究受理後の2018年度~2019年度中に147症例を新規登録したことにより実際の登録症例数は227症例となり、当初の目標症例数(200症例)を達成し得た。昨年度最終解析を実施し、論文として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により作成した縦断データベースのみならず、これまでに個別に症例登録等により参画していた縦断研究において得られていた全てのデータを、新たに一元化した大規模縦断データベースを作成した。その結果横断的データベースとしては1380症例、2年以上追跡している縦断データとしては1000症例分の新規データベースを新たに作成し、現在も登録・跡・解析を随時継続している。なお従来は主に認知機能を主体としていたが、新規データベースでは、フレイルについての情報収集も併せて継続している。
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Causes of Carryover |
既に当初計画した研究は予定通りに終了し得たが、これまでに作成した縦断データベースをもとに、一層規模の大きい縦断データベースを継続して作成しているために、残余予算を本データベース作成にも使用しているため。
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Research Products
(33 results)