2023 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of optimal blood pressure for maintaining cognitive function in elderly hypertensive patients
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18K07489
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
清水 敦哉 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 部長 (50345914)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高血圧管理 / 認知機能保持 / 高齢者 / 大脳白質病変 / フレイル / 左室拡張障害重症 |
Outline of Annual Research Achievements |
既に高血圧が認知症発症の重要な基礎疾患であることは明らかとされている。さらにその機序として、高血圧性に基づく臓器障害である大脳白質病変の出現・拡大が、認知症の発症・増悪と密接に関与していることが示唆されている。このような背景から、中・壮年期の高血圧患者には、明確な降圧目標を設定した厳格な血圧管理が推奨されている。その一方で高齢の高血圧患者への降圧治療は、時にはフレイルや認知症など老年症候群の発症や増悪を誘発することもあって、その有用性を指摘するに留まり、明確な降圧目標の設定はないとの現状がある。 このような背景より我々は、当院外来に定期通院している高齢高血圧患者(年齢65歳以上)を対象として、24時間血圧値・MRIによる大脳白質病変量・血液生化学データ・循環器系生理学データを中心とした縦断研究を継続している。あくまでも外来時の観察研究であり、登録者は既に1400名以上ではあるものの、個別に欠落項目も抱える患者集団ではあるが、本データベースを用いて24時間の管理血圧値・大脳白質病変の変化率・循環器系生理学データとの関連について検討した。 今回全ての検討データが揃っていた157名について、異なる2回(検査間隔は平均2.6年)の頭部MRI実施により大脳白質病変量を測定し、大脳白質病変量の年平均変化率に基づき2群に分類、予測因子として左室拡張障害型心不全の指標となる4項目(E/e’、e’、TRflow、LAVI)やABPMから得られた平均収縮期血圧(終日、日中、夜間)などを共変量として尤度比による変数増加方でロジスティック解析を行った。その結果E/e’が予測因子として唯一統計的に有意であり、血圧との関連性は確認することはできなかった。なお本研究結果については2022年度に国際誌に投稿・受理された。
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