2022 Fiscal Year Research-status Report
Tau pathology associated from cerebral amyloid angiopathy by molecular PET images and CSF analyses
Project/Area Number |
18K07491
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
池田 将樹 埼玉医科大学, 保健医療学部, 教授 (50222899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 佳生 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00282400) [Withdrawn]
対馬 義人 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20375546) [Withdrawn]
藤田 行雄 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (70420172) [Withdrawn]
山崎 恒夫 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (80200658) [Withdrawn]
笠原 浩生 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (80781898) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳アミロイド血管症 / アルツハイマー病 / 脳脊髄液 / タウ / アミロイドβ / アポリポ蛋白E遺伝子 / 11C PiB-PET / 18F THK5351-PET |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の超高齢社会において認知症者数が増加している。最も頻度の高い原因疾患であるアルツハイマー病(AD)の脳脊髄液(CSF)マーカーでは、Aβ、タウ以外に、軸索障害マーカーであるNeurofilament light chain (NFL)とグリア性神経炎症マーカーであるChitinase-3 like 1 protein(YKL-40)が増加することを示し、脳アミロイドアンギオパチー(CAA)の一種である脳葉微小出血(CMB)を有するAD臨床4病型(早期発症記憶障害型、後期発症型記憶障害型AD、発語減少(ロゴペニック)型AD、後部脳萎縮型AD)の4群間において、lvPPA-ADではCMBの左側偏在、CSFにてNFL高値を認め、CMB数/分布と神経軸索障害による神経変性との有意な関連を報告した(Ikeda M et al. Front Neurol 2021)。極稀少頻度であるアポリポ蛋白E遺伝子(APOE)ε2はAD発症に保護的因子とされている一方、CAAに伴う脳葉出血の高リスク因子であることが報告されている。我々はアポリポ蛋白遺伝子(APOE)ホモ接合体ε2/ε2を有し、PiB-PET陽性、再発性脳葉出血、低アポリポ蛋白B血症、低LDLC血症、THK5358 PETによるタウおよびCAA関連astrogliosisを反映する画像所見、脳生検による血管Aβ病理所見を確認したAD症例を世界で初めて発表した(Ikeda M et al. Front Neurol 2021)。さらに、次世代シーケンス(NGS)解析により、同症例が複数の脂質異常症関連遺伝子(APOB、PCSK9、LDLRAP1、MTPT1)にて複数の変異を認める多遺伝子多型polygenic variantsを初めて明らかにして報告した(Ikeda M et al. Neurogenetics 2022)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ADにおいては非認知症対照群に比して、CSF中のNFL(軸索変性マーカー)、YKL-40(グリアマーカー)が有意に増加し、ADの臨床病型に関して、発語減少型ADではCSF NFLが他のAD病型より有意に上昇し、脳葉微小出血(CMB)の分布と数が軸索変性とAD病型に影響を与えることを示した(Ikeda M et al. Front Neurol 2021)。再発性脳出血を認めるAD症例において分子PET画像18F THK5358 PETにて稀少遺伝子型であるAPOEε2/ε2症例において大脳皮質のタウ集積とともに脳葉脳出血、脳表ヘモジデリン沈着(cSS)に伴うastrogliosisとワーラー変性を示す所見を得た(Ikeda M et al. Front Neurol 2021)。さらに同症例では複数の脂質異常症関連遺伝子(APOB、PCSK9、LDLRAP1、MTPT1)にて複数の変異を認めるpolygenic variantsを明らかにした(Ikeda M et al. Neurogenetics 2021)。脳葉出血、cSS、CMBのCAAを呈するAD症例群のタウ、アミロイドの病理について、現在、英文誌に投稿中である。脳葉出血、cSS、脳葉CMBを呈するAPOE遺伝子(ε2/ε4、ε3/ε4、ε4/ε4、ε3/ε3)保有AD症例において脂質異常症を認めており、次世代シーケンス遺伝子解析(NGS)にてAPOE遺伝子多型と脂質異常症関連遺伝子を解析し、CAA、タウ病理との関連をさらに多数症例にて検討を開始している(Okamoto K,Amari N, Ikeda M, et al. Neuropathology 2022)。
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Strategy for Future Research Activity |
超高齢社会である本邦において、アルツハイマー病(AD)および脳アミロイドアンギオパチー(CAA)脳出血の頻度は今後も高まるものと想定される。ADさらにCAAによる認知機能障害の病態解明と防止策は緊急の課題である。MRI脳画像にて脳葉出血、脳表ヘモジデリン沈着(cSS)、微小出血(CMB)を呈し、APOE遺伝子(ε2/ε4、ε3/ε4、ε4/ε4、ε3/ε3)を保有するAD-CAA症例群において血清脂質異常を認めており、APOE遺伝子多型と脂質異常症関連遺伝子を解析し、CSFマーカー分析を行い、(脳血管および脳実質)アミロイドβ、タウ病理と軸索障害神経変性、グリア性神経炎症の関連をさらに検討する。ADおよびCAAの病態解明を進めることで治療法の開発につなげる。2022年8月、CAAボストン診断基準が改訂され、第2版が発表された(Charidimou A et al. Lancet Neurol. 2022)。変更点としては、従来のcSS、CMBに加え、円蓋部くも膜下出血(cSAH)および大脳白質高信号(WMH)、半卵円中心・血管周囲腔(PVS)拡大が画像項目として加えられた。WHMとPVSは皮質下白質における小血管アミロイド由来の病理変化がCAA脳出血と密接に関連しているという従来からの知見に基づいている。現在、AD CSFマーカーとこれらのCAA画像マーカーの関連について検討しており、発症予防、悪化抑制の因子を検討している。近年の高齢者脳出血の原因であるアミロイド性CAA脳出血が減少すれば、認知症の増悪を軽減できる可能性が出てくる。さらに近年施行されている抗アミロイドβ抗体療法においてみられるARIA(アミロイド関連画像異常)への対応策の可能性も見い出されると考え、病理解析とともに、各種CSFマーカー/脳画像分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染の影響により実験などが遅延してしまったため次年度使用額が生じた。令和5年度の研究については、今までできなかった実験(髄液測定)および画像所見の解析を遂行し、統計学的検討を加えた結果の集計とともに考察を行い論文の作成を進めていきたい。
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Research Products
(11 results)