2019 Fiscal Year Research-status Report
脊髄小脳失調症新規モデルマウスを用いた病態解明と治療法開発
Project/Area Number |
18K07503
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
土井 宏 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10326035)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 英之 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30362213)
田中 章景 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30378012)
國井 美紗子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80725200)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | spinocerebellar ataxia / mouse model / calcium channel |
Outline of Annual Research Achievements |
電位依存性カルシウムチャネル(Voltage-gated calcium channels: VGCCs)は、多彩なアイソフォームを持ち、各種VGCCs変異は精神疾患やてんかん症候群、家族性片麻痺性片頭痛などの発作性疾患、脊髄小脳失調症(SCA)などの変性疾患に至るまで、広範囲にわたる神経系疾患の発症と関連している。申請者らは研究対象としてきた常染色体優性SCA家系において、CACNA1G変異、R1715Hを同定した。CACNA1Gは低電位活性化型のT型VGCCsの一種であるCaV3.1をコードしており、様々な細胞機能に関与するが、変異によりどのようなメカニズムで神経変性をきたすのかは全く不明である。本研究ではCACNA1GのR1715H変異をゲノム編集により導入・作成したノックインマウス(Cacna1g_R1723H_KIマウス)を行動面、病理学的側面、電気生理学的側面から多面的に解析することで、CACNA1G変異SCAモデルマウスを確立すること、またT型VGCC修飾薬を用いた、新たなSCA治療法を開発することを目的としている。 本研究では①Cacna1g_R1723H_KIマウスの行動解析・モデルマウスとしての確立、②Cacna1g_R1723H_KIマウスの病理学的・生化学的解析、③Cacna1g_R1723H_KIマウスの電気生理学的、④Cacna1g_R1723H_KIマウスのVGCC機能修飾薬の効果の確認、の4つの研究を行っている。 ①~③については、「現在までの進捗状況」に示す通り昨年度でほぼ終了し、論文発表を行った状況である。本年度は、④に軸足を移した研究を継続している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、①Cacna1g_R1723H_KIマウスの行動解析・モデルマウスとしての確立、②Cacna1g_R1723H_KIマウスの病理学的・生化学的解析、③Cacna1g_R1723H_KIマウスの電気生理学的、④Cacna1g_R1723H_KIマウスのVGCC機能修飾薬の効果の確認、の4つの研究を行っている。 ①としてはSCA原因変異R1715Hを導入したノックインマウスの作成はすでに完了し、現在、Clasping test、Wire hang test、Rotarod test、Footprint testなど運動機能を中心に行動解析を終了した。10~50週でヘテロ、ホモノックインマウスともにRotarod testにおいて野生型に比較し、軽度な運動機能の低下を認めた。 ②としては50週のヘテロ、ホモノックインマウス共にプルキンエ細胞の脱落が見られることを確認した。 ③としては、スライスカルチャーを用いたパッチクランプにおいて、13日齢において野生型とホモのノックインマウスで電流電圧曲線に差が見られる結果を得た。以上からモデルマウスとして確立したと考え、論文投稿し掲載された。 現在、変異がgain-of-toxic-functionであるとの立場からはT型VGCC阻害薬を野生型、ヘテロおよびホモノックインマウスに投与開始し効果を認める結果を得ている。また、 loss of functionの立場から、カルシウムチャネル活性化薬の効果についても検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のように、現状で新規脊髄小脳変性症マウスを確立し英文論文として発表することができた。 今後は本モデルを用いた、脊髄小脳変性症治療の確立に向けた研究を継続していく予定である。 Cacna1gノックアウトマウスの解析では運動機能、生存には影響を与えないことが示されている。変異がgain-of-toxic-functionであるとの立場からはT型VGCC阻害薬投与によって治療効果が見られる可能性があるため、すでに阻害薬の投与を開始し良好な結果を得ている。 また、loss of functionの立場から、カルシウムチャネル活性化薬について投与を検討している。
|
Causes of Carryover |
カルシウムチャネル阻害薬投与実験は研究計画はおおむね予定通りに遂行できているが、、カルシウムチャネル機能促進薬については、予定数のマウスに投与することができずマウスの維持費が予想を下回った。 次年度はカルシウムチャネル阻害薬、促進薬、プラセボを野生型、ヘテロ、ホモノックインマウスに投与していくため、マウス維持費がさらに増大する。主にマウス維持費に使用していく予定である。
|
Research Products
(10 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Ataxic phenotype with altered CaV3.1 channel property in a mouse model for spinocerebellar ataxia 42.2019
Author(s)
Hiroshi Doi, Shunta Hashiguchi, Misako Kunii, Yukihiro Nakamura, Misa Shimuta, Etsuko Suzuki, Masaki Okubo, Toshikuni Sasaoka, Hideyuki Takeuchi, Taro Ishikawa, Fumiaki Tanaka
Organizer
Neuroscience 2019
Int'l Joint Research