2019 Fiscal Year Research-status Report
αシヌクレインを削減するエキソソームの生成過程の解明と新規PD治療法開発
Project/Area Number |
18K07510
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
常深 泰司 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50401344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 和土 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60338184)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エキソソーム / アルファシヌクレイン / パーキンソン病 / ATP13A2 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、パーキンソン病では病態に深く関わっているα-synが細胞間を伝播し病態が広がると考えられている。伝播のメカニズムは明らかとなっておらず、本研究ではα-synの神経細胞間伝播に与えるエキソソームの役割りを解明することを目的とする。 まず申請者が確立したmicrofluidicsを用いた培養システムにて、エキソソームが神経細胞間を伝播するか検討した。2つのチャンバーがaxonのみ通過可能な幅450 nmのグルーブにて連結していて神経細胞間の直接伝播と液性因子を介した間接伝播を分離検討した。このmicrofluidicsの上下のチャンバーで別々のiPS細胞をドパミン細胞に分化した。予めAlexa555でラベルしたα-synを細胞外液に投与し、エキソソームを回収した。このAlexa555-α-synを含むエキソソームを上のチャンバーに投与したところ、細胞に取り込まれて、下のチャンバーに培養しているドパミン細胞に取り込まれたα-synが、免疫染色、ウエスタンブロットにて検出されてエキソソームを介した伝播が確認された。興味深いことに、KRS患者のドパミン細胞を上のチャンバーに培養して、そこにエキソソームを投与したところ、むしろ伝播は抑制され、レンチウイルスを用いてATP13A2の発現を増加させた場合はむしろ伝播が促進された。 さらに個体モデルにおけるエキソソームを介したα-synの脳内伝播を検討するため、コントロールとAtp13a2 KOマウス脳の線条体、またマウスの尾の静脈に培養液から分離した蛍光標識したα-synを含むエキソソームを注入した。エキソソームが末梢から中枢神経への伝播に介入するのか、中枢神経ないの伝播に与える影響はあるのかを検討するため3ヶ月後、6ヶ月後にマウスの病理変化を現在検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験は概ね遂行され、予想されていた結果を得ることができたため順調に進展していると判断した。具体的には、エキソソームがα-synが細胞間伝播に積極的に関与していることがドパミン細胞にて解明され、エキソソームの増減が細胞間伝播に直接影響を与えることが判明した。これはパーキンソン病の新規治療法としてエキソソーム経路がターゲットとなりうることを示唆する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度の知見を発展させ、エキソソームがα-synの末梢組織から中枢神経に、また中枢神経内の伝播に与える影響をマウスを用いた実験の解析を行う。既にエキソソームの注入は終わっており、あとは解析を行うのみである。 また、エキソソームの産生、放出、取り込みに影響を与える薬剤をスクリーニングして新規パーキンソン病の治療法を確立する。6月よりiPS細胞の培養が再開するため、大至急細胞を用意する予定である。
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Causes of Carryover |
少額の余った予算を使い切るよりも次年度に回した方がより有効に使用できると判断したため。
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