2018 Fiscal Year Research-status Report
筋強直性ジストロフィー患者脳における肉眼的および顕微鏡的病態多様性の検討
Project/Area Number |
18K07515
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
木村 卓 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (20441264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳川 浩男 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90273680)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 筋強直性ジストロフィー / スプライシング異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、筋強直性ジストロフィーI型(DM1)の中枢神経障害の機序を明らかにすることを目的とする。DM1ではDMPK遺伝子の異常なCTGリピート伸張とそれによる選択的スプライシングの異常が病因として知られている。研究代表者らは小脳では脳の他部位に比べてCTGリピート伸長、スプライシング異常の程度が小さいことを見出し、小脳ではCTGリピート伸長あるいはスプライシング異常を抑える因子が発現しているのではないかという仮説を立てた。本研究では、脳の各部位、各細胞層におけるスプライシングの程度及びその違いを生み出す要因について明らかにする。 ヒト剖検脳の各部位(前頭葉、側頭葉、海馬、小脳)のそれぞれの部位からRNAを抽出し、cDNAに逆転写した。スプライシング部位を増幅するためのプライマーを作成し、PCRで増幅し、電気泳動を行って、スプライシングアイソフォームの割合を算出した。多くの部位で本疾患患者脳からRNAはスプライシング異常を示したが、小脳では認められなかった。また前頭葉の皮質、白質からRNAを抽出し、同様の解析を行った。皮質、白質の分離については脳組織をスライスし、スライドグラスに貼り付け、スライドガラス上で切り分けた。分離が適切であるかどうかについては、白質の多く発現しているMOG、皮質に多く発現しているNEFHという遺伝子の発現量を定量的PCRでみることで確認した。その結果、白質ではスプライシング異常が起こりにくいことを見出した。その原因としてスプライシング制御蛋白であるMBNL2の分布の違いを想定している。MBNL2蛋白はRNAに結合するが、MBNL2はRNAの輸送にも関与していることが報告されている。MBNL2蛋白の分布がスプライシングアイソフォームの分布にも影響していることを想定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、肉眼的および顕微鏡的病態多様性についての検討を計画通り進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はMBNL2蛋白の分布の違いをウェスタンブロットや免疫染色法を用いて調べる。
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Causes of Carryover |
MBNL2のスプライシングアイソフォームに特異的な抗体を作成し、western blotを行った。抗体作成費用などが新たに必要であったため、前倒し支払い請求を行った。しかし理論上困難であることが判明したため、一部の抗体作成を中止した。そのため次年度使用額が生じた。 当該年度以降に行うwestern blot、免疫染色に使用する消耗品の費用として用いる計画である。
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