2019 Fiscal Year Annual Research Report
高分子抗プリオン化合物の作用機序解明ー生体内脂質との関係性を探るー
Project/Area Number |
18K07518
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西澤 桂子 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (10431503)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プリオン / セルロース誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロースを化学処理して製造されるセルロース誘導体(CE)は、産業分野において保水剤や保形剤、増粘剤等として広く利用されている。研究代表者らはこれらCEが生体内で長期に渡りプリオン病の発病を抑制することを発見したが、CEがプリオン病の発病を防ぐしくみは解明されていない。本研究は、CEと生体内に存在する脂質との相互作用に着目し、CEの作用機序に関わる因子を探る目的で実施した。 はじめに、解析ツールとして使用するCEを組み込んだ脂質複合体の調製プロトコールを最適化し、CEがこれらの脂質複合体の物理化学的特性に与える影響を調査した。CEを組み込んだ脂質複合体は、CEを含まない脂質複合体に比べて分散安定性に優れること、CEはフォスファチジルコリンとコレステロールから成る脂質複合体のゼータ電位に影響を与えないが、ポリエチレングリコール(PEG)修飾した脂質複合体においては、CEが脂質複合体のゼータ電位を負にすることを明らかにした。 また、このCE脂質複合体を蛍光修飾し、神経芽腫細胞やミクログリア細胞との相互作用を解析したところ、CEは脂質複合体と神経芽腫細胞との相互作用を促進する一方、脂質複合体とミクログリア細胞との相互作用を抑制することが示された。 続いて、PEGやフォスファチジルセリン(PS)を組み込んだCE脂質複合体を調製し、プリオン感染神経芽腫細胞におけるCE脂質複合体-細胞間相互作用とプリオン抑制効果との関連を解析した。PEG修飾はCE脂質複合体-細胞間相互作用を抑制し、抗プリオン活性を弱めたが、PS修飾はCE脂質複合体-細胞間相互作用を抑制するにもかかわらず、抗プリオン活性を変化させないことがわかった。これらの結果より、プリオン感染神経芽腫細胞におけるCEの抗プリオン活性は、CE脂質複合体と細胞との相互作用とは直接関連しないことが示唆された。
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Research Products
(6 results)