2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞由来神経オルガノイドを用いた筋萎縮性側索硬化症の軸索病態の解析
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18K07519
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 直輝 東北大学, 大学病院, 助教 (70451599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
割田 仁 東北大学, 大学病院, 助教 (30400245)
青木 正志 東北大学, 医学系研究科, 教授 (70302148)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 軸索病態 / マイクロ流体デバイス / FUS / RNAシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
独自開発した広流路マイクロ流体デバイスを用いたヒトiPS細胞由来運動ニューロンの軸索束(神経オルガノイド)作成により軸索のみの高収量回収が可能となり、ALSの軸索特異的・運動ニューロン選択的な細胞障害の機序が明らかにできる。ALSの運動ニューロン脆弱性の分子機構を明らかにすることが目的である。パイロット実験では神経オルガノイド培養の軸索部分から抽出したRNAシークエンス解析によりFUS変異病態に関連する遺伝子Xを見出していた。さらにFUS変異iPS細胞由来運動ニューロンの軸索形態異常が遺伝子Xのノックダウンで改善することを確認し神経オルガノイド培養を用いた軸索病態の解析はアプローチとして有用であることを見出していた。 遺伝子干渉だけでなく、遺伝子Xの機能阻害剤を用いてもFUS変異運動ニューロンにおける軸索の異常突起本数が減少した。一方で、正常運動ニューロンにおいて遺伝子Xを過剰発現すると軸索の異常突起本数が増加した。これらのことから、遺伝子Xは運動ニューロンにおけるFUS変異に伴う異常突起の形成に関わっていると考えられた。 さらに個体レベルでの軸索形態異常を評価するため、遺伝子Xをゼブラフィッシュに過剰発現させて、表現型の変化を検討した。インジェクション後のゼブラフィッシュの脊髄軸索を計測すると異常な軸索のブランチングが見出された。重要なことにゼブラフィッシュの運動機能をCoiling movementで評価したところ、遺伝子Xの過剰発現により運動機能が低下することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FUS変異運動ニューロンの軸索部分における新規病態遺伝子である遺伝子Xの発現上昇を新規マイクロ流体デバイスとRNAシークエンス技術を用いて見出すことができた。細胞の表現型としては軸索部分の分岐増加に関わることがわかり、遺伝子Xを抑制することで、FUS変異運動ニューロンの表現型が正常化することもわかった。ゼブラフィッシュでの遺伝子Xの解析により、運動機能とのかかわりを確認することができた。おおむね順調に計画を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテオームなどの網羅的解析を施行しうる量のサンプルを軸索から回収可能であることも確認済みであり、蛋白レベルでの解析も行っていきたい。また1分子イメージングのプローブ・定量法は確立しており、遺伝子X産物の局在変化などについても検討していきたい。また軸索構造が観察可能なゼブラフィッシュ、剖検脳・脊髄サンプルは行動解析・病理学的な定量解析のノウハウも含め確保済みであり、個体レベルの解析をさらに進めていく。
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Research Products
(4 results)