2019 Fiscal Year Research-status Report
皮膚筋炎における骨格筋微小血管障害の分子メカニズムの解明
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18K07527
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐野 泰照 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20379978)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 皮膚筋炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚筋炎(dermatomyositis: DM)では筋微小血管のTJの破綻が認められ,炎症性サイトカインなど筋線維にとって有害な液性因子のさらなる筋内鞘への流入を促進し,DMの病態を悪化させていると考えられる.本年度は,ヒト骨格筋微小血管内皮細胞(human muscle microvascular endothelial cells: HSMMECs) 由来条件的不死化細胞株であるTSM15株のバリア機能を修飾する分子の検索を行った.末梢神経ペリサイトから放出されるグリア細胞株由来神経栄養因子(Glial Cell Line-derived Neurotrophic Factor :GDNF))が末梢神経微小血管内皮細胞のバリア機能を増強させるという知見(Shimizu et al, Neurochemical Research 2012)を参考に,GDNFのTSM15に対する作用につき検証した.結果,GDNFはTSM15のcludin-5の遺伝子発現を有意に増加させ,VCAM-1およびICAM-1の遺伝子発現を有意に低下させた.GDNFは筋微血管内皮細胞に直接作用し, tight junction関連分子の発現を増加させることでバリア機能を増強させることが示唆された.また,細胞接着因子の発現を低下させることで筋線維にとって不利益となる炎症性細胞の筋内鞘内への浸潤を軽減させる可能性が考えられた.GDNFはDMの新たな治療法となりうる可能性がある
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト骨格筋微小血管内皮細胞のバリア機能を増強させる因子について2018年度に同定した活性化ビタミンDに引き続きGDNFの検証に成功した.これらの分子は皮膚筋炎(DM)で破たんした骨格筋微小血管内皮細胞のタイトジャンクションを修復する可能性があり,新たなDMの治療法へと進展することが期待される.以上より本研究課題は順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
セルカルチャーインサートを用いた骨格筋微小血管in vitro モデル,患者血清,ならびにヒトリンパ球を用い,皮膚筋炎における単核球の筋内浸潤の分子病態を解明する.さらに,主にヒト骨格筋ペリサイトに着目し,筋微小血管障害を修復する因子を同定する. また,これまで多発性硬化症などの中枢神経系自己免疫疾患の血液脳関門破綻およびその修復にかかわる多くの知見があるが,骨格筋微小血管の破綻および修復のメカニズムとも共通する分子基盤があるものと推察される.よって,我々が保有する骨格筋微小血管in vitro モデルを用いた研究に応用し,皮膚筋炎の新たな治療法開発へつながる研究を遂行していく予定である.
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Research Products
(2 results)