2019 Fiscal Year Research-status Report
Organ involvement in patients with anti-mitochondrial antibody-positive myositis
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18K07542
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
前田 明子 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (20646799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 潤 東京大学, 医学部附属病院, 届出診療医 (40260492)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗ミトコンドリア抗体 / 筋炎 / 不整脈 / 呼吸筋障害 / 心伝導障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
①抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochodrial antibody; AMA)陽性筋炎の臨床情報のデータベース更新・解析、②AMA陽性筋炎の剖検症例の病理検索を行った。 ①東京大学脳神経内科第3研究室の筋炎データベースでAMA陽性筋炎症例は2009年以降2020年4月までで計54例(男性10例、女性44例)存在した。年齢は平均59±12歳(33~89歳)であり血清CK値は1475±2088 mg/dL(22~11473 mg/dL)、抗ミトコンドリア-M2抗体価は101±90 IU(8~400 IU)に分布した。抗EJ、抗SRP、TIF1-γ、抗Jo-1抗体の重複陽性例が1例ずつ存在した。生検時に不整脈・心伝導障害を認めた症例は16例、無し24例、不明14例であった。心筋障害あり8例、無し33例、不明13例であった。呼吸筋障害(拘束性喚起障害)あり14例、無し30例、不明10例であった。3例で筋生検時に心臓デバイス挿入術を施行されていた。 ②剖検症例は死亡時72歳女性で経過5年のAMA陽性筋炎に不整脈、心臓伝導障害、呼吸筋障害を合併していた。治療開始後CK値は正常化するも再燃を繰り返し、意欲低下、食欲低下、るいそうが進行し、寝たきりの状態であった。身長148cm、体重26kg、呼吸筋障害に誤嚥性肺炎が加わって生じた呼吸不全が直接死因と診断された。肝臓(450g)では肝門部胆管結石症、胆管炎を認めたがPBCを疑う所見はなかった。心臓(210g)では心外膜脂肪織の膠様性変性を認め、心筋筋線維束間の線維化を認めた。横隔膜の筋線維の大小不同、nuclear chain、nuclear clump、筋束間の線維化を認めた。抗DLAT(Dihydrolipoamide S-acetyltransferase)抗体染色で右室、左室の心筋線維細胞質は顆粒状に染色された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は1)臓器合併症のある抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎の臨床データベースの構築、2)病態機序解明を行うことを目的としている。 1)令和元年度には臓器合併症を有する抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎の臨床データベースを更新した。前回より15例追加され、本検討を開始してから対象症例は計54例となった。データベースの更新は順調であり、今後も引き続き各施設からの情報収集を行う。全国アンケート調査に関しては倫理委員会審議への準備を進めている段階であるが、COVID-19感染による研究室封鎖、研究者の所属異動により当初の予定より多少時間を要している。2) 令和元年度は病理解剖症例で心筋、骨格筋の免疫染色の追加検討を行った。生検症例での多数例検討については、COVID-19感染による研究室封鎖、研究者の所属異動により当初の予定より多少時間を要しているが、準備は整ってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎症例の臨床追跡調査:現時点で既に抗ミトコンドリア抗体陽性 心臓、呼吸筋合併症としてデータベース化されている症例のその後の治療内容、臨床経過、転帰をアンケート形式で調査し、データベースの更新を行う。2)倫理審査終了後、日本神経学会を通じて全国アンケート調査を行い、 抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎症例の診療経験数、さらに不整脈、心筋障害、呼吸筋合併症を有した症例数の問い合わせ(一次調査)、臓器合併症を有した症例の詳細の問い合わせ(二次調査)を行う方針。また筋病理所見観察(ルーチン染色、免疫染色)を継続しデータベースの更新を行う。 2)COVID-19感染による研究室封鎖解除後に、保存患者血清を用いた、自己抗体検索(ラミニン、ミトコンドリアM7、ミトコンドリアADP/ATPトランスポーター、ミオシン 重鎖、Na-K-ATP ase、トロポニンI)、筋炎自己抗体検索(TIF1γ、HMGCRなど)を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染により、学会への旅費が不要になったこと、研究室封鎖、研究者の所属異動により血清サンプルを用いた研究が予定よりも進まなかったことから次年度繰越が生じた。引き続き次年度も研究を継続し、前年度施行が不可能であったサンプルを用いた検討を進めていく。
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