2020 Fiscal Year Research-status Report
多面的な生物学的指標を用いた精神病性障害の予後予測の試み
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18K07550
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高橋 努 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (60345577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 悠子 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (60401840)
笹林 大樹 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (80801414)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 精神病発症危険状態 / 磁気共鳴画像 / 嗅覚機能 / 事象関連電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
精神病性障害の発症危険群(at-risk mental state; ARMS)の基準を満たす症例および初回エピソードの統合失調症患者を対象に脳磁気共鳴画像検査、T&Tオルファクトメーターを用いた嗅覚機能検査、および事象関連電位といった生物学的検査に加え、症状評価、社会機能評価、認知機能評価等を行い症例蓄積を継続している。これらの症例の臨床経過は専門外来においてフォローしており、定期的に症状や認知機能などを評価している。 頭部MRI検査において、ARMS群全体では健常対照群と比較して側頭平面の形態変化を認めず、統合失調症群で報告される同部位の所見は発症に伴い経時的に生じる変化であると類推された(Takayanagi et al., 2020)。 これは統合失調症の病態に深く関わる島回の体積減少が病初期に進行性にみられる所見(Takahashi et al., 2020a)とも一致する。一方、ARMS群では皮質下構造の形態異常を認め、これらは病前からみられる脆弱性を反映する所見と考えられた(Sasabayashi et al., 2020)。一方、精神病への脆弱性を表すと考えられた松果体体積の減少は一部の大うつ病性障害群にもみられ(Takahashi et al., 2020b)、脳形態変化の疾患特異性についてはさらに検討が必要と思われた。なお統合失調症群と健常群を脳形態に基づき自動判別するアルゴリズムは概ね確立できており(Yamamoto et al., 2020; Nemoto et al., 2020)、今後はARMS群の発症予測や統合失調症の予後予測に応用していきたい。脳波検査では、ARMS群のなかでも将来精神病に移行する群で事象関連電位(特にミスマッチ陰性電位とP300)の変化が大きいことを示唆する予備的な結果が得られた。嗅覚機能検査については新型コロナ流行に伴い検査中止としており、新たなデータ収集は行っていない。今後さらに症例を蓄積しながら研究を進めることで、生物学的所見による精神病性障害の予後予測法の確立を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に症例蓄積を継続すると共に、生物学的指標と臨床指標の関連を横断的に検討できている。今年度は特に脳形態特徴についての解析を進めることができた。嗅覚機能についても、ARMS群や統合失調症群において症状の重症度や認知機能と関連することを既に見い出している。ただし嗅覚機能検査は被験者がマスクを外さないと施行できないため、新型コロナ流行下では施行難しく、新規データ取得の再開時期は定まっていない。事象関連電位についてはデータ蓄積自体は順調であるが、解析は若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
脳形態の進行性変化の評価および予後指標の評価のためには、対象者をいかに確実に臨床的にフォローアップするかが重要となる。引き続き、附属病院における専門外来との連携を緊密に保ちながら確実なデータ収集に努めたい。
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Research Products
(11 results)