2019 Fiscal Year Research-status Report
認知機能と報酬予測機能の安静時fMRI指標開発とうつ状態バイオタイプ同定への応用
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18K07563
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡田 剛 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (10457286)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 安静時fMRI / 遂行機能 / 報酬予測 / 背外側前頭前野 / うつ状態 / 脳機能的結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでうつ病で機能異常が示唆されている機能ドメインにおける神経回路機能の個人差を安静時fMRIから予測する手法を確立するため、当該年度は、遂行機能に関わる背外側前頭前野の賦活機能と安静時fMRI脳領域間機能的結合データの関連について解析を進めた。安静時fMRI で測定される脳領域間機能的結合は、Brainnetome Atlasに基づき、脳全体を246の領域に分けて算出した。また、背外側前頭前野の賦活機能は言語流暢性課題遂行中の脳活動をコントロール課題遂行中の脳活動と比較することで算出した。背外側前頭前野の賦活機能を予測するのに最適な安静時脳機能的結合の組み合わせの推定には、関連ベクターマシンを用いた。その結果、前頭前野、島皮質、基底核などの領域を含む組み合わせに主に重み付けされた安静時fMRI脳領域間機能的結合データの重み付け和により、言語流暢性課題を遂行中の背外側前頭前野の賦活機能の個人差を推定できるという予備的な結果を得た。今後、うつ病、双極性うつ病、健常者を対象に、報酬予測に関連する線条体の賦活機能および遂行機能に関連する背外側前頭前野の賦活機能の安静時fMRI指標を測定し、クラスタリングするとともに、その妥当性をうつ症状、認知機能、脳機能への影響が示唆されている環境要因を外的な実証測定項目として評価することで、脳神経回路機能に基づくうつ状態のバイオタイプの同定を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3年間での目標は、われわれがこれまでに賦活課題を用いたfMRI研究で明らかにしてきたうつ病の脳機能異常に関して、その個人差を予想する安静時fMRI指標を確立し、得られた指標で、認知機能や報酬予測などに関する神経回路機能に基づくうつ状態の神経生理学的バイオタイプを同定することである。昨年度は、金銭遅延報酬予測課題を遂行中の線条体の賦活機能の個人差を予測する安静時fMRI指標を特定できたことから、当該年度は遂行機能に関わる背外側前頭前野の賦活機能と安静時fMRI脳領域間機能的結合データの関連について解析を進め、脳神経回路機能に基づくうつ状態のバイオタイプの同定に資する安静時fMRI指標を確立することを目標としており、概ね目標を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
背外側前頭前野および線条体の賦活機能の個人差を予測する安静時fMRI指標を、精度と汎化性能の高いものにするため、引き続き画像データの前処理やパーセレーションの最適化に取り組む。精度の高い安静時fMRI指標が確立されれば、うつ状態の患者群において、確立した安静時fMRI指標を測定しクラスタリングすることで、脳神経回路機能に基づくうつ状態のバイオタイプの同定を試みる。また安静時fMRIと合わせて、うつ症状(Hamilton Rating Scale for Depression、Beck Depression Inventory)、認知機能や報酬予測機能を調べるためのコンピュータ課題のパフォーマンス、脳機能への影響が示唆されている環境要因を、クラスタリングに用いない外的な実証測定項目として評価し脳神経回路機能に基づくバイオタイプの妥当性を検証する。
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Causes of Carryover |
データ解析用コンピュータを設備備品として計上していたが、当該年度も既存のもので対応なんとか対応できたため購入しなかった。既存のものの老朽化に伴い、2020年度は新規に購入する予定である。
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Research Products
(2 results)