2020 Fiscal Year Research-status Report
Cell-type specific expression analysis in postmortem brains of patients with schizophrenia
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18K07567
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
文東 美紀 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (00597221)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 死後脳 / 細胞核分画 / トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、統合失調症患者の脳組織において、どの細胞種でどのような遺伝子発現変化が生じているかを明らかにすることを通じて、精神疾患の分子病態の理解を進め、将来の創薬の起点を得ることである。そのために患者・健常者の死後脳前頭葉からさまざまな細胞種由来の細胞核を分画したのち、RNA-seqによる網羅的な遺伝子発現解析を行い、患者-健常者間で発現差異が見られる遺伝子を検出することにより、病態・病因に関与する分子やパスウェイを同定することを目指す。 本年度は主に、ヒト凍結死後脳から抽出した細胞核を使用してRNA-seqを行い、インフォマティクス解析を行った。統合失調症患者、健常者それぞれ10人ずつの死後脳から生化学的に調製した細胞核から、セルソーターを用いてニューロン、オリゴデンドロサイト、活性型マイクログリア、活性型アストロサイト、その他のグリア細胞由来の細胞核の分画を行い、それぞれの画分より100個ずつの細胞核を取得した。核に含まれるRNAは超微量であるため、微量RNAやシングルセルからの発現解析に特化したRamDA-seq法を用いてライブラリ作製を行い、イルミナ社のNovaseqを使用してシーケンシングを行った。シングルセルにおける発現解析のパイプラインなどを参考にしながら、得られたシーケンスデータのクオリティコントロールやデータの正規化などを行い、細胞種毎に健常者-患者間の発現差異の検出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疾患・健常者の各細胞種から、トランスクリプトームデータの取得が完了している。微量RNAシーケンスデータからのインフォマティクス解析は、通常の発現解析とは異なる部分があるため、研究室内外のインフォマティシャンと協力しながら進めており、疾患-健常者間における細胞種特異的な発現解析差異の検出が終了しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、トランスクリプトームデータからのインフォマティクス解析を進め、統合失調症の病態・病因に関与する細胞種や分子、パスウェイの同定を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度におけるシーケンシング費用が、当初の計画よりも少額で済んだため、次年度使用額が生じている。この予算は、翌年度のバイオインフォマティクス解析や、発現解析の確認実験に使用予定である。
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