2022 Fiscal Year Research-status Report
Electroconvulsive stimulation is associated with the permeability of blood-brain barrier
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18K07571
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
伊藤 賢伸 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90420851)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ECT / ECS / BBB |
Outline of Annual Research Achievements |
6週齢Wistar rat雄に尾静脈からfluorescein (FITC)-conjugated Affinipure Fab Fragment Goat Anti-mouse IgG (H+L)を1mg投与した。その後潅流を行い、脳を摘出した。IVISイメージングシステムを用いて、灌流後も脳に残存したFITC-IgGを測定した。その結果、電気けいれん刺激群(ECS)では、コントロールと比較して有意に蛍光が強く、FITC-IgGが多く残存することが見込まれた(p = 0.0271)。 次に6週齢のWistar rat 雄に麻酔の上で、ECS(100Hz, pulse width 0.5msec,duration 1sec, current 80mA)を行った。その後脳を摘出し、RNAシーケンスを行った。また、ECS後の長期的な形態学的な変化を確認するために、ECS11分後(直後)、5日後、30日後の脳を回収し、電子顕微鏡試料を作成した。ECS直後から、毛細血管周囲のアストロサイト終末足は腫大していた。ECS5日後には、アストロサイト終末足の腫大は一部改善していたが、一部は残存していた。ECS30日後には、コントロールとECS群で大きな違いを認めなかった。以上から、ECSで起こったアストロサイト終末足の変化は、1か月以内には正常化すると考えらえれた。RNSシーケンスの結果は現在分析中である。 以上の結果から、ECSにより、BBB透過性は変化し、IgGのような高分子であっても透過性が亢進することが示された。またECSにより起こる解剖学的な変化としてアストロサイト終末足の腫大化が観察されたが、ECS後30日にはコントロール群と変化を確認できない状態に回復していた。ECSにより安全に可逆的なBBB透過性コントロールを行うことが可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は引き続きコロナ禍が続き、研究員の出入りの制限、海外からの実験材料や試料の納品の遅れなどが目立っていた。動物実験室の飼育ゲージが制限され、多数のラットを同時に飼育できず、グループに分けて実験を行う必要があり、時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
回収したmRNAからBBB透過性変化の中心的なたんぱく質を同定していく。疾患モデルとなるノックアウトマウスを用いた研究を行うために、ECS後のBBB透過性について、マウスでも検証を行う。BBBを分子が透過することを解剖学的に確認するために、金コロイドを用いた電子顕微鏡による観察も考慮する。 脳内に異常蛋白質が蓄積するアルツハイマー型認知症モデルなどのマウスを用いて、ECS後に抗体療法を行うことで、より確実な異常蛋白質の除去が行える可能性を検証する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染の拡大で、物品の流通が滞り、必要とする資料や資材を適切な時期に入手することが困難であった。そのため、本年予定されていた実験計画の一部を履行することができなかった。それに合わせて1年延長の申請を行い受理されたため、残額を次年度に持ち越した。次年度は、マウスを用いた尾静脈からの投与実験に切り替え、疾患モデルマウスを使った研究を行う予定である。
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