2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K07572
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
山本 亮 金沢医科大学, 医学部, 講師 (30447974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 哲史 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (90334812)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分界条床核 / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ストレスによる攻撃行動の調節とその基盤となる神経回路機構の解明を目指すことである。それらを明らかにするために初年度はスライス電気生理と光遺伝学を組み合わせた神経回路の詳細研究と古典的解剖学を用いた神経回路の解析を行った。まず、スライス電気生理実験において、分界条床核前部から視床下部内腹側核への投射が主に抑制性であり、特に視床下部内腹側核のshell部への投射が強いことを明らかにした。また、core部のニューロンへの投射も存在し、core部のニューロンは核外へと長く伸びる樹状突起を持つ事も明らかにした。一方で、分界条床核後部からは、視床下部内腹側核に向けて抑制性と興奮性の投射が存在し、興奮性の投射は直接coreニューロンを興奮させるものと外周のshellニューロンを興奮させpolysynapiticにcoreニューロンを抑制させるものとがある事が分かった。これらの投射系は視床下部内腹側核が司る攻撃行動を調節するものであると考えられる。また、視床下部内腹側核へ投射するニューロン群を同定するために逆行性トレーサーを用いて解剖学的に検討した結果、上述した分界条床核、以前から報告されている扁桃体内側核、扁桃体基底内側核等に加え、視床傍脳室核及び正中視索前核にも標識されたニューロンを確認できた。これらの脳部位はストレス応答性の高いCRFニューロン群が多く存在する部位であり、ストレス関連情報が視床下部内腹側核へ伝達されていることを示唆している。今後これらの活動とストレス反応及び攻撃行動の関連を探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解剖学的実験により、視床下部内腹側核へ投射するニューロン群の同定にある程度以上成功し、順調に神経回路の解析が進んでいる。また、スライス電気生理と光遺伝学を組み合わせた実験によって分界条床核による視床下部内腹側核の興奮性調節の詳細を明らかにできつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
スライス電気生理実験による詳細な神経回路研究に加え逆行性トレーサーと免疫染色を行う事で視床下部内腹側核への投射系を明らかにする。次年度からは行動実験にもより力をそそぎ、実際の行動をこれらの神経回路がどの様に調節しているのかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定よりも購入した薬剤が少なかったため少額の研究費が残ったが、次年度の薬剤購入に使用する。
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