2022 Fiscal Year Research-status Report
概日リズム睡眠覚醒障害の遺伝要因とその発症分子メカニズム
Project/Area Number |
18K07580
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
肥田 昌子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部, 客員研究員 (20333354)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 概日リズム睡眠-覚醒障害 / 非24時間睡眠-覚醒リズム障害 / 睡眠障害 / 概日時計 / 遺伝子バリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
概日リズム睡眠-覚醒障害のサブタイプの一つである非24時間睡眠-覚醒リズム障害の表現型は、内在性概日周期(τ)の延長や同調機構の障害により発症すると考えられている。また、動物モデルの研究では、概日時計遺伝子に変異や欠失を導入すると動物のτに変化が認められている。そこで、非24時間睡眠-覚醒リズム障害の発症に寄与する潜在的な遺伝的要因を明らかにするため、視力障害のない日本人非24時間睡眠-覚醒リズム障害患者17例を対象に、次世代シーケンサーを用いて概日・睡眠関連遺伝子76個の塩基配列を決定し、さらに17例を含む64例のN24SWDのCLOCK遺伝子とNR1D2遺伝子について配列解析を行った。その結果、CLOCK遺伝子に新規バリアント1つと既知バリアント4つ、NR1D2遺伝子に新規バリアント1つと既知バリアント8つが同定された。CLOCK遺伝子には新規ミスセンスバリアント(NM_004898.3: c.1488C>G: p.Q[Gln]496H[His])と既知ミスセンスバリアント(NM_004898.3: c.2278C>G: p.Q[Gln]760E[Glu])が、NR1D2遺伝子には新規ミスセンスバリアント(NM_005126.4: c.274 G>A: p.G[Gly]92S[Ser])および既知ミスセンスバリアントが2つ見つかった(NM_005126.4: c.696A>C: p.Q[Gln]232H[His];NM_005126.4: c.1351G>A: p.A[Ala]451T[Thr])。また、新規のNR1D2ミスセンスバリアント(G92S)を保有する症例に、新規PER1ミスセンスバリアント(NM_002616.2: c.1198G>A: p.E[Glu]400K[Lys])が発見された。本研究は、非24時間睡眠-覚醒リズム障害に概日時計遺伝子が寄与する可能性を示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染症対策のためデータ解析の作業等が遅れ、非24時間睡眠-覚醒リズム障害症例に検出された新規および既知バリアントの検証と機能解析が完了していない。
|
Strategy for Future Research Activity |
検出された新規および既知バリアントについて、概日リズムや睡眠に与える影響を検証し、非24時間睡眠-覚醒リズム障害との関連性を探る。
|
Causes of Carryover |
これまでのコロナ感染症対策でデータ解析等が遅れ、研究成果の公表が本年度末となり、学術雑誌掲載料等の費用がまだ請求されていない。次年度も研究成果の公表を中心に行っていく。
|
Research Products
(1 results)