2019 Fiscal Year Research-status Report
青年期の抑うつ症状と社交不安症状に関する包括的、縦断的検討
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18K07583
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
朝倉 聡 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30333602)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 青年期 / 抑うつ症状 / 社交不安症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、入学時にTCIにて人格特性が評価されており、大学保健センターを受診時にPHQ-9にて抑うつ症状の評価、LSASにて社交不安症状の評価がなされた334例について検討した。 LSASにて30未満を社交不安症状なし群、60以上を社交不安症状あり群としたところ、社交不安症状なし群は55例、社交不安症状あり群は79例であった。社交不安症状あり群では、社交不安症状なし群と比較し、PHQ-9で評価された抑うつ症状が優位に高く、TCIで評価された損害回避(harm avoidance : HA)気質が優位に高かった。LSASにて30未満かつPHQ-9のアルゴリズム診断にて抑うつ症状なしをコントロール群(40例)、LSASにて30未満かつPHQ-9のアルゴリズム診断にて抑うつ症状ありをうつ病群(15例)、LSASにて60以上かつPHQ-9のアルゴリズム診断にて抑うつ症状なしを社交不安症群(26例)、LSASにて60以上かつPHQ-9のアルゴリズム診断にて抑うつ症状ありを社交不安症とうつ病併存群(53例)とし、4群間でHAを比較したところ、うつ病の有無にかかわらず、社交不安症群でHAが優位に高かった。 これらの結果から、人格特性として損害回避気質の高さは、抑うつ症状より社交不安症に関連している可能性が考えられた。今後は、大学保健センター受診時に評価されているK10による全般的な精神症状、Rosenberg’s Self-Esteem Scale(RSES)よる自尊心・自己効力感、Life Experience Survey(LES)による肯定的および否定的なライフイベント、Beck HopelessnessScale(BHS)よる自殺念慮などとの関連も含めて縦断的に検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学入学時の人格特性の評価としてTCI、抑うつ症状の評価としてPHQ-9、全般的な精神症状の評価としてK10、微弱な精神病様体験の評価としてPRIME Screenについては、継続してデータを集積中であり、まだ統合的な解析には至っていない。大学保健センターを受診した学生に対しては、PHQ-9にて抑うつ症状の評価、LSASにて社交不安症状の評価を行い、同時にK10により全般的な精神症状の評価、Rosenberg’s Self-Esteem Scale(RSES)にて自尊心・自己効力感の評価、Life Experience Survey(LES)により肯定的および否定的なライフイベントの評価、Beck HopelessnessScale(BHS)にて自殺念慮の評価を行っているが、データベースの構築が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースを構築し、大学保健センター受診学生についての抑うつ症状、自尊心・自己効力感、絶望感、社交不安、ライフイベント等のデータを蓄積し、大学入学時の抑うつ症状、人格特性等のデータとあわせた解析を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は、データ収集、データ入力、解析のための人件費・謝金が発生しなかった。また、データベースの構築が遅れたため、次年度はこれに関する費用としても使用する。
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Research Products
(3 results)