2022 Fiscal Year Research-status Report
青年期の抑うつ症状と社交不安症状に関する包括的、縦断的検討
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18K07583
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
朝倉 聡 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30333602)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 青年期 / 抑うつ症状 / 社交不安症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の検討で、Liebowitz Social Anxiety Scale(LSAS)で評価した社交不安症状とRosenberg’s Self-Esteem Scale(RSES)で評価した自尊心・自己効力感は、Patient Health Questionnaire (PHQ-9)で評価した抑うつ症状の9項目(自殺関連念慮)の有意な予測因子であることが確認され、高い社交不安症状と低い自尊心・自己効力感は自殺関連念慮を予測できる可能性が考えられた。 2022年度は、今後の治療的介入法の検討を考慮し、社交不安に対する薬物療法および自尊心・自己効力感に関する介入が自殺関連念慮を減少させるかについてのシステマティックレビューとメタ解析を行なった。 社交不安に対する薬物療法では、MEDLINE、PubMed、CENTRAL、ICHUSHIで検索し、既存のメタ解析に5研究を加えてupdateした。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の反応率(RR=1.62)でLSAS減少率(mean difference=-9.65)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の反応率(RR=1.57)でLSAS減少率(mean difference=-11.72)でポラセボより有意であり、脱落率には差はなかった。 自尊心・自己効力感に関する介入が自殺関連念慮を減少させるかについては、PsycINFO、PubMed、Web of Scienceで検索し、5研究についてメタ解析を行なった。介入後の自殺関連念慮についての効果量は小さく[g=-0.24, 95%CI (-0.48, 0.00)]、3ヶ月follow up時は[g=-0.36, 95%CI (-0.62, -0.11)]であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学入学時の人格特性の評価としてTCI、抑うつ症状の評価としてPHQ-9、全般的な精神症状の評価としてK10、微弱な精神病様体験の評価としてPRIME Screenについては、継続してデータを集積中である。大学保健センターを受診した学生に対しては、PHQ-9にて抑うつ症状の評価、LSASにて社交不安症状の評価を行い、同時にK10により全般的な精神症状の評価、RSESにて自尊心・自己効力感の評価、LESにより肯定的および否定的なライフイベントの評価、BHSにて絶望感の評価を行っており、これらについても、継続してデータを集積する。データベースの構築がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースを構築し、大学保健センター受診学生についての抑うつ症状、自尊心・自己効力感、絶望感、社交不安、ライフイベント等のデータを蓄積し、大学入学時の抑うつ症状、人格特性等のデータとあわせた解析を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は、データ収集、データ入力、解析のための人件費・謝金が発生しなかった。また、データベースの構築がやや遅れているため、次年度はこれに関する費用としても使用する。
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