2021 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症におけるConnectivity異常のTMS-EEGによる評価
Project/Area Number |
18K07587
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
井出 政行 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10741390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 真弘 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40513370)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統合失調症 / うつ病 / 経頭蓋磁気刺激 / 脳波 / Phase locking value / 同期 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の診断は幻覚、妄想、思考障害などの症状に頼らざるを得ないため、適切な診断・治療が行えず、社会復帰ができずに本人・社会にとって大きな損失となってしまうことが少なくない。統合失調症では脳波の異常が検出されることが知られているが、まだ安定した結果が得られないため臨床検査として応用できていない。経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation以下TMS)は脳の局所に微弱な電流を流すことができ、その反応を脳波で検出することにより脳内の伝達の異常を検出することができる。統合失調症の脳では神経細胞の結合性(Connectivity)の低下が指摘されており、経頭蓋磁気刺激誘発脳波(TMS-EEG)により、統合失調症の病態に関連した神経細胞のConnectivityの低下を描出できる可能性がある。本研究では統合失調症患者と健常者とのTMS-EEGを比較し、新たな生物学的診断法の確立を目指す。 本研究では統合失調症と健常者のTMS-EEGの違いおよび疾患特異性を検証するため、統合失調症、うつ病、健常者各20名(計60名)を目標に研究を開始したが、2020年度の新型コロナウィルス感染症のため、2020年度までに35例の症例の測定にとどまっていた。研究期間を延長し2021年度は10名の測定を行ったが、病院の建て替え工事中の騒音が大きくなり研究に必要な静穏環境が確保できなくなったため、45名まで終わったところで測定を終了した。現在、研究結果を解析中であり、研究期間を2022年度に延長しTMS-EEGの有用性について検証し、論文発表および学会発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初2020年度で終了の予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大防止のため脳波の測定が中断した。再開後も測定場所である病棟に外部の者が入ることができなかったため、患者は入院患者のみに限定し、健常者は病院職員に限定していたことから患者の測定が思うように進まなかった。さらに、病院の建て替え工事が始まり騒音のため研究継続ができなくなり、2021年10月で測定を中止した。現在解析中であり、2022年度に論文化や学会発表の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
45名の解析の結果、単純にこれまで用いていたパラメータ(PLV)を用いても診断に有用な結果は得られなかった。現在、得られたデータから疾患に関連した情報を抽出できる計算法を確立するため、統計数理研究所と共同で新たな解析法の開発を行っており、2022年度は計算法の開発と論文や学会での発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大防止対策のため、被検者のリクルートが大幅に遅れた。さらに病院の建て替え工事のため研究の継続ができなくなり、昨年10月の脳波の測定を終了した。 このため解析が遅れ、論文作成や学会発表の費用が次年度へ繰り越しとなった。
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