2019 Fiscal Year Annual Research Report
記憶・情動障害を主徴とする辺縁系脳炎型橋本脳症の分子免疫病態の解明
Project/Area Number |
18K07593
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
松永 晶子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (40401971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 誠 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (70270551)
三苫 博 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (20453730)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 橋本脳症 / 辺縁系脳炎 / 免疫組織染色 / パッチクランプ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
橋本脳症は、慢性甲状腺炎(橋本病)に伴う免疫学的異常により精神神経症状を呈し、ステロイド等の免疫治療が奏功する自己免疫疾患である。我々は、2005年に橋本脳症患者に特異的に存在する抗NH2-terminal of α-enolase(NAE)抗体を血清中に同定した。2017年に『辺縁系脳炎(LE)型橋本脳症』を新しい疾患概念として提唱し、その後、LEの原因疾患のひとつとして認識されるようになった。本研究は、LE型橋本脳症患者の血清・脳脊髄液中の自己抗体による分子免疫学的影響を解析することにより、病態機序を解明することを目的とした。 免疫染色:LE型橋本脳症における免疫学的な脳の標的部位を検討するため、抗NAE抗体陽性LE型橋本脳症の患者血清、市販の抗α-エノラーゼ抗体、抗血管内皮細胞抗体を用いて、ラット脳海馬スライスで免疫蛍光染色を行った。患者血清は、神経細胞でなく小血管に免疫反応を示した。小血管における免疫反応部位は、血管内皮細胞が示唆されたが、結果が一定せず、更なる検討を要する。 生理機能解析:ラット海馬スライスを用いたパッチクランプ法で、抗NAE抗体陽性LE型橋本脳症患者の脳脊髄液添加による神経伝達への影響を検討した。患者髄液4例と対照髄液1例を用いて、海馬CA3-CA1のシナプス伝達を解析した。患者髄液のうち1例で興奮性シナプス後場電(fEPSP)の上昇がみられ、患者髄液が海馬シナプス伝達に作用することが示唆された。次に、fEPSP上昇の機序を解明するため微小興奮性シナプス後電位(EPSC)を記録した。EPSCの振幅は変化なく、頻度の上昇が見られたが、対照群でも頻度が上昇しており、有意な所見はなかった。
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