2019 Fiscal Year Research-status Report
Neuroimaging study of avolition in schizophrenia
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18K07600
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
兼子 幸一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50194907)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 陰性症状 / 意欲・発動性低下 / 認知矯正療法 / 費用‐便益評価 / 機能的磁気共鳴画像 / 機能的結合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)機能的磁気共鳴画像(fMRI)の撮像に用いる課題用ソフトウェアのデバッグ:2018年度にCroxsonらの報酬学習課題(J Neurosci 29: 4531-41, 2009)を実装するプログラムを作成したが、2019年度に課題中の図形の出現時間の設定やその後の反応時間の測定法に誤りがあることが判明し、プログラムを修正した。 2)報酬と労力の統合に関係する動機付け関連脳領域の特定:健常者4名、統合失調症患者3名に対して、新たに修正した報酬学習課題を用いて費用-便益の評価に関係する脳領域を検討した。大脳皮質6領域、辺縁系3領域、基底核6領域の計15脳領域に関心領域を設定し、報酬×労力の相互作用を検討した。その結果、眼窩前頭皮質、帯状皮質において報酬×労力の相互作用(p<0.001)が認められ、この2領域が報酬と労力の統合に寄与する可能性がある。 3)陰性症状評価尺度(BNSS)で評価した「意欲・発動性の低下」の重症度と動機付け関連脳領域間の機能的結合性の関係:5名の統合失調症患者において、BNSSの「意欲・活動性の低下」を評価する2つの下位項目「意欲・発動性の低下:行動」および「同:内的体験」の重症度と安静時fMRIで測定した動機付け関連の15脳領域に含まれる2領域間の機能的結合性との相関を検討した。その結果、①左腹側線条体-左前部帯状皮質および②左中脳-左眼窩前頭皮質の2つの機能的結合性が、「意欲・発動性の低下:内的体験」の得点と有意な負の相関を示した:①左腹側線条体-左前部帯状皮質 r=-0.49 (p<0.005)、②左中脳-左眼窩前頭皮質 r=-0.57 (p<0.001)。これらの結果は、左腹側線条体と左前部帯状皮質、および左中脳と左眼窩前頭皮質で各々構成される神経ネットワークの結合性が意欲・発動性の内的体験と関係することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況の遅れの理由は下記の通り: 1)機能的磁気共鳴画像(fMRI)時に用いる報酬学習課題を実装するプログラムに誤りがあり、そのデバッグに約2ヵ月半を要した。 2)安静時fMRIを用いた動機付け関連脳領域間の機能的結合性の解析に想定した2ヵ月よりも長い約4か月半を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、報酬学習課題遂行時と安静時のfMRI、およびBNSSをそれぞれ指標として、統合失調症患者の意欲・発動性の障害に対する、認知機能リハビリテーションNEARの効果を検討する。しかし、現在、新型コロナウィルス感染拡大のため、認知リハビリテーションNEARの実施およびfMRI研究がストップしており、今後の感染状況のどうこうによっては、fMRI研究を断念せざるを得ないリスクも発生しうる。その際は、臨床指標であるBNSSに対するNEARの効果検討を主たる目的に変更する予定にしている。
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Causes of Carryover |
1)次年度使用額が生じた理由 ①報酬学習課題プログラムのデバッグのため、研究遂行に遅延が生じ、縦断研究(認知リハビリテーションの前及び後の精神症状、fMRI撮像による評価)が完遂しておらず、被験者に対する謝金支払を行っていないため。 ②すでに所有していた統計解析ソフトウェアで統計解析を行うことが出来、新たな統計ソフトウェア(SPSSの最新ヴァージョン)の購入が不要となったため。
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