2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K07606
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 雅之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (90332832)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経有棘赤血球症 / McLeod症候群 / 有棘赤血球舞踏病 / chorein / XK |
Outline of Annual Research Achievements |
神経有棘赤血球症 (Neuroacanthocytosis) とは、神経症候と有棘赤血球症を併せ持つ病態に対して包括的に使用される用語である。中核群の代表疾患が有棘赤血球舞踏病 (ChAc) とMcLeod症候群 (MLS) である。ChAcは常染色体劣性遺伝性を呈し、VPS13A遺伝子の機能喪失変異が病因であり、遺伝子産物choreinが欠損する。MLSは伴性劣性遺伝性を呈し、X染色体上のXK遺伝子の機能喪失変異が病因であり、XKタンパク質が欠損する。両疾患ともハンチントン病類似の精神神経症状と有棘赤血球症を呈する稀な遺伝性神経変性疾患であり、臨床症状の酷似性から共通の分子病態の存在が示唆されていた。今回、非常に稀な疾患であるMLSが疑われる6例の患者検体を集積することができた。全例病因XK遺伝子変異を有しており、コピー数変異を含む2つの新規変異を同定した。また6例のMLSの赤血球膜分画では有意にchoreinの免疫反応が低下していた。一方ChAc患者のの赤血球膜分画においてはXKタンパク質の免疫反応の低下は認めなかった。また健常者の不死化リンパ芽球様細胞においては、XKタンパク質の免疫反応は認めず、MLS患者と健常者においてchoreinの免疫反応は同等であり、元々XKタンパク質の発現がない細胞においてはMLSと健常者間でchoreinの発現に差がないことが示唆された。また、VPS13Aの共発現細胞を用いた免疫沈降でXKタンパク質とchoreinの共沈を認め、両タンパク質の相互作用が示唆された。今後、中枢神経系の解析が必要であるが、MLSとChAcの共通分子病態として、choreinのタンパクレベルの低下が病態に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、6例のMcLeod症候群患者において全例病因XK遺伝子変異を同定し、新規XK遺伝子変異を同定した。また、choreinーXKタンパク質の相互作用が示唆される結果を得choreinタンパク質レベルの低下がMcleod症候群と有棘赤血球舞踏病の共通分子病態である可能性を示すことができており、進捗状況は概ね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Xkノックアウトマウスの脳におけるchoreinやXKと共沈するタンパク質の脳部位別の発現、細胞内局在について解析し、野生型マウスのものと比較し、MLS病態との関与を検討する。ChAcモデルマウスについても同様の解析を行いXkノックアウトマウスと比較し、共通分子病態について解析しする。集積してきたChAc患者やMcLeod患者のDNAを用いて相互作用タンパク質をコードする遺伝子についてシークエンシングやCNV解析を含めた包括的変異解析を行い、多型、変異、発現などについてデータベース化した表現型との相関を解析し、症状修飾因子多形や変異を同定する。また、統合失調症や気分障害患者について、同様に相互作用タンパク質をコードする遺伝子の包括的変異解析を行い、気分障害や統合失調症との関連を解析する。
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Research Products
(5 results)