2018 Fiscal Year Research-status Report
rTMSによる顕著性回路を介したアンヘドニアの治療メカニズムの解明
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18K07612
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小高 文聰 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10349582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 勇紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10726540)
鬼頭 伸輔 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20406987)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | rTMS / 大うつ病性障害 / アンヘドニア / 機能的結合度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)を用いた、大うつ病性障害における「アンヘドニア(失快楽症)」の治療メカニズムを解明するものである。そのためには、「アンヘドニア」の行動測定系を確立し、続いて機能的MRIを用いた臨床研究の基盤を確立する必要がある。2018年度はこうした行動測定および臨床研究基盤の整備を行った。 行動測定系の確立については、大うつ病性障害の残遺症状の一つであるアンヘドニアの行動評価を行うための、①Handgrip Force Task(HFT)および②Effort discounting taskの確立を行った。①は持続握力計を用いた報酬と握力の関係を測定する行動課題であり、②は自記式質問紙を用い、同様に報酬と労力の関係を数理モデル化する行動課題である。HFTについては、ハードウェアとして東京慈恵会医科大学精神医学講座に設置されている、BIOPAC systems社のMP160および付属の握力計であるTSD-121Cを利用した。ソフトウェアのプログラムについては、Windows OSと心理実験ライブラリであるPsychopyを用い、BIOPAC社より提供されたハードウェアAPIをPythonで制御するためのラッパを開発し、Psychopyを用いた心理課題を作成した。続いて、研究実施に関する基盤整備として、「反復経頭蓋磁気刺激による大うつ病性障害におけるアンヘドニアの治療メカニズム:rs-fMRIによる解析(9370)」「「労力による価値割引効果(effort discounting)」を利用した抑うつ症候の評価(9207)」「気分障害におけるドパミン関連行動と抑うつ症候(アンヘドニア)の関係に関する研究(9564)」と題した研究課題が東京慈恵会医科大学倫理委員会を通過し、被験者のエントリを開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在1)報酬感度を測定するHandgrip Force Task(HFT)とEffort discounting課題を評価するための、大うつ病性障害患者と健常者を対象とした行動研究と、大うつ病性障害を対象としたrTMS前後の機能的MRI研究の被験者エントリーを開始しているが、被験者の登録が堅調ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
登録が堅調でない理由は複数存在しているが、改善は可能である。2018年度より東京慈恵会医科大学精神神経科で大うつ病性障害を対象としたrTMS治療が開始されたが、治療器の数や治療フローの効率が十分ではなく改善の余地がある。また、こうしたフローを実現するためには、研究補助者が不足している。2019年度はこうした点を改善しつつ、研究補助員を拡充し、被験者の登録を促進する。
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Causes of Carryover |
本研究の一部は、行動測定およびMRIの測定・解析費用に充てられるが、被験者エントリが堅調ではなく、MRIの測定費用に充てることができなかったため。
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