2019 Fiscal Year Research-status Report
RIG-I様受容体経路を基盤とする放射線感受性制御機構の解明と癌放射線治療戦略
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18K07623
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
吉野 浩教 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (10583734)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RIG-I様受容体 / 放射線 / アポトーシス / Fas / Fasリガンド |
Outline of Annual Research Achievements |
RIG-I様受容体 (RLR) は細胞質のウイルスセンサーとして機能し,ミトコンドリアを介して抗ウイルス応答を誘導する。また,近年では,RLRの活性化による抗癌効果も報告され,RLRが癌治療の標的として期待されている。申請者はこれまでにRLR刺激因子の抗癌効果が放射線との併用により増強されること,またRLR刺激因子により放射線誘発アポトーシスが増強されることを見出したが,そのメカニズムについては未解明である。本研究の目的は,そのメカニズムを解明するとともに,RLR活性化と放射線の併用による抗癌効果をより効果的にするための治療戦略を見出すことである。 2年目は,RLR活性化と放射線の併用による抗癌効果をより効果的にするための治療戦略の探索を行った。これまでのメカニズム解析により,RLR刺激因子と放射線の併用処理はアポトーシス関連因子Fasの発現増強を伴うが,併用によるアポトーシス増強はFas非依存的に起こることが判明した。この結果から,RLR刺激因子と放射線の併用処理ヒト肺癌細胞をFasリガンドで刺激することでアポトーシスのさらなる増強が期待できると考え,その仮説について検証を行った。その結果,期待した通りに,RLR刺激因子と放射線で併用処理されたヒト肺癌細胞をFasリガンドで刺激することで,アポトーシスをさらに増強させることに成功した。さらに,このアポトーシス増強はFasに依存すること,またFasリガンド誘発アポトーシスの増強はRLR刺激因子に対する細胞応答ではなく,放射線に対する細胞応答に起因することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はRLR活性化と放射線の併用による抗癌効果をより効果的にするための治療戦略の探索を行った結果,Fasリガンドを用いることでRLR刺激因子と放射線の併用処理ヒト肺癌細胞のアポトーシスをさらに増強することに成功した。この成果は国際学術誌『Current Cancer Drug Targets』に投稿され,2020年1月に採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,ミトコンドリアリボソームタンパク及びミトコンドリア‐小胞体膜の接触領域に着目してRLR活性化による癌細胞の放射線感受性制御機構の解明に取り組む予定である。その他の検討項目に関しては,当初の研究計画の通りに遂行する。
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Causes of Carryover |
実験に使用している機器に不具合が生じたため,その修繕対応のために50万円を前倒し申請したが,所属機関の経費にて修繕が行われたため前倒しした研究費は使用しなかった。したがって,その50万円は最終年度に繰り越し,当初の最終年度の研究費使用計画の通りに使用する。他にも約14万円の繰り越しが生じたが,これは採択された論文の掲載料の請求・支払いが年度内に間に合わなかったためであり,繰り越した研究費は次年度に論文の掲載料として使用する。
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Research Products
(14 results)