2018 Fiscal Year Research-status Report
分子イメージングと内用放射線治療を目指す腫瘍指向性ナノ粒子キャリア創薬研究
Project/Area Number |
18K07641
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山本 文彦 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (40253471)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分子イメージング / ラジオセラノスティクス / 放射性標識合成 / 腫瘍 / マウス / インビトロ / インビボ / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内安定性と腫瘍認識能の向上を目指して、ラクトソームの表面への機能性官能基付加ドラッグデザイン戦略の妥当性の評価を行うととともに、ラジオセラノスティクスとしての臨床適用を目指した基礎検討を開始した。 「機能性ラクトソームの創製と放射性イメージングプローブとしての基礎評価」として、両親媒性ポリマーのPSar末端に葉酸基を有するラクトソームについて、その放射性ヨウ素体の効率的調製法を確立した。スズ前駆体から得た放射性SIBを、ポリ乳酸と反応させさらに府フィルム法により葉酸修飾両親媒性ポリマーとともに粒子化を行うことで、放射化学的収率67%で125I標識葉酸修飾ラクトソームを合成できた。インビトロ評価を行ったところ、葉酸受容体を発現するKB細胞において89nMと比較的高い親和性を示しまた飽和性のある結合が観察された他、ほとんど取り込まれなかったcolon26細胞に対して、KB細胞へは1.2%/mgとの高い特異的取り込みがみられた。今後はステルス性保持を有する葉酸修飾率の最適化を検討するとともに、インビボ安定性評価の比較のために内包ヨウ素ポリ乳酸の生体内分布の検討を行う予定である。 「放射性標識ラクトソームの脳腫瘍イメージングの可能性評価」では、評価に使うモデルとしてメラノーマ細胞心室内投与による脳腫瘍転移モデルマウスの作成について概ね6割程度の成功率で作成する条件を確立した。ラジオセラノスティクスとしての可能性を有する111In標識ラクトソームを用いて脳腫瘍転移モデルへの投与後2時間および24時間の生体内分布を検討した結果、新たに腋下リンパ節と骨髄に比較的高い放射能分布がみられることを明らかにした。この脳転移モデルは血液脳関門(BBB)が破綻していることを明らかにしているが、脳腫瘍への分布は破綻したBBB通過と、リンパ系を介した分布の両方の可能性があるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能性ラクトソーム創製評価のうち、いくつか計画しているデザインから葉酸修飾体を先行して評価を進めている。ラクトソームの表面に機能性分子を導入する戦略の妥当性が明らかになれば、他の機能性分子導入にも応用できる。また安定性評価の基礎データは本体標識型ヨウ素ラクトソーム評価とも情報共有できると考えている。このため、葉酸修飾体評価を集中して進めることには意味がある。 111In標識ラクトソーム評価は、脳腫瘍モデルの作成条件確立に時間を費やしたが今後は安定して評価ができる。また本モデルは、他のデザインのラクトソーム評価にも用いることが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画通りに推進していく予定である。 本体標識型ヨウ素標識ラクトソームはインビボ評価に用いるための精製が課題である。またラクトソーム表面にヨウ素を導入することになるため、ステルス性を失わない修飾率の確定が重要でありそのため、葉酸修飾ラクトソームの最適化条件を参考にしたい。 機能性ラクトソームのうち、葉酸修飾ラクトソームのインビボ評価を進める予定であり、ステルス性保持のための修飾率を確定する。並行して、他の機能性官能基(RGDペプチド、膜透過性ペプチド)の選定と導入法の検討を行っていく。 ラクトソームの脳腫瘍イメージング評価については、111In標識ラクトソームの脳腫瘍転移モデルにおける生体内動態を他のタイムポイントでも検討するとともに、血中安定性についての評価を行い、リンパ節や骨髄の分布放射能の化学形を推定する。
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Causes of Carryover |
理由の1つめは、年度末に成果発表のための国内学会があり、参加のための費用や旅費の執行が次年度となってしまった。次年度の早い時期に執行した。
理由の2つめは、当初初年度に購入予定であったペプチド合成装置だったが、葉酸修飾ラクトソーム評価研究を優先して進める必要があったため、購入の優先順位を次年度以降に変更した。導入するペプチドを検討したのち購入予定である。
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Remarks |
山本文彦、有機合成化学をベースとした腫瘍指向性分子イメージングプローブ開発と治療薬への展開、東北医科薬科大学第5回医薬研究交流会、(仙台、2018年5月)
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[Journal Article] Synthesis and characterization of 11C-labeled benzyl amidine derivatives as PET radioligands for GluN2B subunit of the NMDA receptors2018
Author(s)
Takeshi Fuchigami, Noriko Fujimoto, Terushi Haradahira, Yumiko Nojiri, Takashi Okauchi, Jun Maeda, Tetsuya Suhara, Fumihiko Yamamoto, Morio Nakayama, Minoru Maeda, Takahiro Mukai
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Journal Title
J. Labelled Compd. Radiopharm
Volume: 61
Pages: 1095-1105
Peer Reviewed
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