2018 Fiscal Year Research-status Report
High resolution MR lymphangiography by nanodiamond Gd-DTPA
Project/Area Number |
18K07647
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松本 知博 東海大学, 医学部, 講師 (30710983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 哲也 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10286635)
長谷部 光泉 東海大学, 医学部, 教授 (20306799)
中村 挙子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (70357656)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノダイヤモンド / ガドリニウム / MRI / リンパ系 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内において,直径1-10nm程度の物質は間質液内(血管外の細胞間の隙間を満たす液体)でリンパ管内に選択的に取り入られ,管内を流れた後に最終的に腎臓から排泄されることができると考えられている.先行研究では直径0.2 nm程度のGd錯体(Gd-DTPA)に対して直径5 nm程度のナノダイヤモンド(ND)を複合した造影剤Gd-DTPA-NDを作製した.本剤は直径5 nm程度の大きさを有していることに加え,既存Gd製剤の1/10のGd量で同等の造影効果が得られるため革新的なMRI造影剤になる可能性がある一方で,これらの粒子は水中においてマイクロスケールの凝集塊を形成してしまう問題が存在した. 本研究ではこの凝集塊と直径0.03 mmのジルコニア製ビーズを水中において超音波で撹拌してGd-DTPA-ND粒子を分散させることを試みた.その結果,10 mlの水溶媒環境下で70 vol%のジルコニアビーズと200 mgのGd-DTPA-ND粒子を2 時間のあいだ超音波で撹拌することによりGd-DTPA-ND粒子の安定なコロイド溶液を得ることに成功した.また,超音波撹拌前後のGd-DTPA-ND懸濁液を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察したところ,撹拌前では直径数μmにも及ぶ巨大な凝集塊が視認できた一方で,撹拌後ではそれらが解砕されてGd-DTPA-ND粒子がまばらに分散した様子が視認できた.次に,Gd-DTPA-NDの粒径分布を動的光散乱法(DLS)によって測定した.その結果,超音波撹拌前では凝集によって粒径分布が870 nm程度前後にピークが存在していたのに対し,超音波撹拌後ではそのピークが6 nm程度に位置しており,このことからもGd-DTPA-ND粒子が分散していることが示唆された.得られた粒径分布によると直径10 nm以上の凝集塊は存在していないことも確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の目的は水中において凝集したGd-DTPA-ND粒子を分散させて安定なコロイド溶液を得ることであったが,それを予定通り達成することができた.また,当初はジルコニアビーズを交えた超音波撹拌と同時にGd-DTPA-ND粒子表面への親水性官能基による修飾を実施することによりGd-DTPA-ND粒子の水中における分散性向上を想定していたが,実際は表面修飾をおこなわずともジルコニアビーズとGd-DTPA-ND粒子を超音波で撹拌するだけでGd-DTPA-ND粒子を安定して分散させることができた.そのため,NDに対する表面修飾する手間を省くことができたことから,Gd-DTPA-ND粒子をMRI造影剤として実用化するうえできわめて有意義な結果を得ることができたと考えている.また,超音波撹拌後のGd-DTPA-ND粒子は時間経過とともに凝集する様子はなく,永続的に水中で分散していることも今後の製品化を見据えるうえできわめて重要な事実だと考えられる.実際,2 時間の撹拌作用のみでGd-DTPA-ND粒子を完全に分散させることができたので,工業的な観点や生産ラインを将来的に意識したうえでも負担にならずにおこなうことができると思われる.現時点において直径1-10 nm程度の直径で且つ水中において安定して存在するMRI造影剤の存在は報告されておらず,本研究によって得られたGd-DTPA-ND造影剤が初めての存在である.そのため,現時点における本研究の進捗はきわめて順調であり,また非常に有望なものであることが言える.今後は,本剤の視認性評価を実施し非臨床試験を通して高精細リンパ系MR造影の実現に向けたステップを歩んでゆく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
作製に成功した高分散Gd-DTPA-NDを作製し,以下の実験を行う. 1. 3T-MRI装置を用いてスクリュー管内で高分散Gd-DTPA-NDの造影能確認実験を行う. 3T-MRI装置は東海大学医学部の臨床機(Ingeina 3.0T, Philips)を用い,3D T1 gradient echo T1強調画像で撮像する.高分散Gd-DTPA-Ndと既存Gd錯体造影剤であるGd-DTPAの造影能の比較を行う.造影能の比較は,それぞれの信号強度,T1値とT2値の測定をすることによって行う. 2. 高分散Gd-DTPA-NDをラットに投与し,3T-MRI装置を用いてリンパ系の描出能実験を行う. 1mM,5mM,10mM,30mMに調整した高分散Gd-DTPA-NDを作製する.イソフルラン吸入麻酔下でラットの両側手掌と両側足底にそれぞれ0.2ml注入する.1分後より,3T-MRI装置で撮像し,開始から15分後まで撮像する.得られた画像から放射線診断医2名がラットリンパ系の描出能を評価する.尚,非造影でのラットの3T-MRI撮像実験は施行済みである
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Causes of Carryover |
ナノダイヤモンドの生産メーカーの発注が一時的に中断されていたため。今年度早期にナノダイヤモンドの発注をする予定にしている。
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Research Products
(45 results)
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[Journal Article] Feasibility and Safety of CT-guided Intrathoracic and Bone Re-biopsy for Non-small Cell Lung Cancer.2018
Author(s)
Matsumoto T, Hasebe T, Baba Y, Chosa K, Kondo S, Yamada S, Yoshimatsu R, Kubota T, Fujitaka K, Awai K, Yamagami T.
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Journal Title
Anticancer Res.
Volume: 38
Pages: 3587-3592
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Internal biliary drainage for isolated posterior segmental biliary obstruction: a case report.2018
Author(s)
Izumi H, Yoshii H, Yokoyama D, Uda S, Abe R, Mukai M, Nomura E, Ito H, Mine T, Matsumoto T, Hasebe T, Makuuchi H.
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Journal Title
J Med Case Rep.
Volume: 12
Pages: 1-5
DOI
Peer Reviewed
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