2020 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic effects on brain network in drug-naive patients with depressive disorder: a DTI study of 17 candidate genetic loci
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18K07654
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
掛田 伸吾 弘前大学, 医学研究科, 教授 (30352313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
興梠 征典 産業医科大学, 医学部, 教授 (60195691)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MRI / うつ病 / 脳画像解析 / テンソル画像 / 遺伝子 / 脳容積 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近の大規模試験で、うつ症状との関連する17種類の遺伝子多型が証明された。前年度までの研究にて、MRI拡散テンソル画像(DTI)や脳容積画像を用いて、これらの遺伝子多型がうつ病患者の脳神経線維および脳内ネットワークや脳形態に与える影響についてtract-based spatial statistics (TBSS)法を用いて調べた結果、17種類の遺伝子多型について、arginine-glutamic acid dipeptide (RE) repeats (RERE)遺伝子のみが脳線維の変容に関連していた。またRERE遺伝子は海馬の特定の容積変化と関連があった。これら変容を認めた脳線維や脳容積部位は、従来、うつ病で異常と証明されてきた脳内ネットワークや脳領域に一致していた。これらの研究成果をもとに、最終年度では脳内ネットワークと血液バイオマーカとの関係について調べた。具体的には、血中コルチゾール、TNF-αについて、脳容積から算出される脳容積脳内ネットワークとの関係を調べた。この結果として、うつ病患者においては軽微な炎症反応(血中コルチゾール、TNF-α)が生体内で持続上昇していることを証明し、更にこれが前頭前野を中心とした脳内ネットワークと有意な相関関係があることを明らかとした。 今回の研究結果は、うつ病で見られる脳内ネットワークの変容が血液の炎症バイオマーカに関係する可能性を示唆する。以上の研究成果は、査読のある欧米雑誌に論文として報告した。この成果は、今後のうつ病患者の治療経過や治療方針において、脳内ネットワークが有用な情報になることを示すものである。また、うつ病の発症リスクや自殺の危険性が高い症例を予測するための重要なデータとして、脳画像が有用であることを証明するものと考える。
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