2018 Fiscal Year Research-status Report
α-KG代謝変異およびIDH変異をターゲットとしたPETプローブの開発
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18K07656
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
岡田 真希 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 研究員(任常) (00415407)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 酢酸 / MP4A / BA |
Outline of Annual Research Achievements |
<[1-11C]酢酸の前駆プローブとしての[Carbonyl-11C]MP4Aの脳細胞内代謝> 当初の予定では1位の11C標識α-ケトグルタル酸([1-11C]α-KG)の合成法を確立する予定であったが、これまで他課題で進めていた11Cシアンを反応中間体とした[1-11C]ピルビン酸合成の再現性が得られなくなった。また[11C]シアンの供給が不安定になってきたため、[1-11C]ピルビン酸合成を一度中断し、[1-11C]酢酸によるIDH及びKGDH検出が可能かどうか検討することとした。 IDH野生型(IDHWT)とIDH変異型(IDHmut)腫瘍では細胞内代謝やトランスポータの発現量が異なっており、TCA回路の基質の補充にIDHWTは酢酸をIDHmutは乳酸やグルタミン、グルタミン酸を用いていることや、酢酸の細胞内取り込みに関与するモノカルボン酸トランスポータ(MCT)の発現量もIDHmutに比べIDHWTの方が優位になっていることが報告されている。そこで細胞内での酢酸の正味の代謝を測定することを目的にMCT非依存的に細胞内取り込み可能な高移行性PETプローブである[1-11C]酢酸ベンジルと新たに合成した[Carbonyl-11C]MP4Aを比較検討した。ラット脳PETイメージングで[Carbonyl-11C]MP4Aと[1-11C]酢酸ベンジルの動態を比較したところ、投与後早期では若干差が認められたが、投与後5分以降では差は認められなかった。このことから[Carbonyl-11C]MP4Aも[1-11C]酢酸ベンジルと同様に[1-11C]酢酸の前駆プローブとして有用である可能性が示唆された。また、使用した麻酔薬(イソフルラン、放水クロラール)によって動態に変化が認められたため、麻酔薬による脳血流や酵素への影響を留意する必要が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画上では[1-11C]α-KGの新規合成方法を確立することを目的としていたが、前段階である[1-11C]ピルビン酸の合成が困難だったため。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍細胞を用いた[1-11C]酢酸および[1-11C]BAおよび[Carbonyl-11C]MP4Aの代謝の比較を行う。また、[11C]シアンを用いた[1-11C]ピルビン酸合成の他に、酵素法による[1-11C]ピルビン酸および[1-11C]α-KGの合成検討を行う。 ピルビン酸、α-KGに関連する酵素阻害剤やイソクエン酸脱水素酵素阻害剤等他の候補薬物の探索を行う。
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Causes of Carryover |
キャンペーンや値引き等により備品・消耗品の予算計上額と実支出額に差額が生じたため。 消耗品の購入に使用する。
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