2018 Fiscal Year Annual Research Report
固形がんに対するセラノスティクス医療を目指した新規放射性核種封入リポソームの開発
Project/Area Number |
18K07657
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
濱道 修生 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 外来研究員 (60721686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放射性核種 / リポソーム / イムノリポソーム / 固形がん / セラノスティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、有効な治療効果に乏しい固形がんに対するセラノスティクス医療の開発である。これを成功させるためには、まず放射性核種の高い腫瘍内集積が必要であり、申請者らは大量の放射性核種をリポソームによって送達する技術を既に開発した。次に、正常組織内の非特異的集積の低減が極めて重要であり、正常組織内でリポソームが分解された際、正常組織外へと排出が期待できる新規リガンドを用いて、これを達成する。さらに、放射性核種の腫瘍内集積と正常組織内集積の差が大きい程、より良い治療成績が期待できるため、リポソームの腫瘍内集積の向上を目指し、様々な工夫を試みている。
リポソームに封入する新規リガンドとして、Arginine-Bn-DOTA (Arg-Bn-DOTA)を開発した。Arginineとp-SCN-Bn-DOTAの反応条件を最適化し、Arg-Bn-DOTAをHPLC (HILIC)を用いて解析した。さらに、腫瘍皮下移植マウスに、In-111標識されたDOTA、DTPA、並びにArg-Bn-DOTAを封入したリポソームを投与し、体内動態を検討した。In-111 DOTAやIn-111 DTPAでは網内系組織(肝臓、脾臓)からの排出が確認されなかった一方、In-111 Arg-Bn-DOTAでは放射性核種の集積が約半減した。今後、腫瘍と正常組織におけるリポソームの分解能などを確認する予定である。
さらに、リポソームの腫瘍内集積の向上を目指し、イムノリポソームの開発を試みた。リポソーム脂質組成にDSPE-PEG2000-NHSを加え、抗体とNHSの反応により、抗体をリポソームに架橋した。腫瘍内集積の向上は薬効の増強につながるため、放射性核種の高い腫瘍内集積と低い正常組織内集積を目指す上で、今後この試みは重要なステップになると考えられる。
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