2020 Fiscal Year Research-status Report
微細周期構造形成による放射線検出用蛍光体の高性能化を目指した基礎研究
Project/Area Number |
18K07664
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
三浦 健太 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (40396651)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金属酸化物 / 金属ナノ粒子 / 表面プラズモン共鳴 / スパッタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,放射線検出用蛍光体の表面に微細周期構造を形成し,蛍光体内部からの光取り出し効率を高めることで高効率化を目指しているが,本年度は,別のアプローチとして,金属ナノ粒子の表面プラズモン共鳴現象を利用した高効率化を検討した.金(Au)や銀(Ag)のナノ構造やナノ粒子は,その表面プラズモン共鳴による特異な光吸収を示し,太陽電池やLEDの高効率化,あるいは光触媒の高性能化などにも強く寄与し得るものと期待されている.我々は,これまでに,独自の共スパッタ法を用いて金属酸化物(Ta2O5)薄膜に希土類およびAgを共添加し,Ag添加の効果により,Ta2O5薄膜中の希土類イオンからの発光が増強されることを確認してきた.そこで今回は,同様の共スパッタ法を用いてAu添加Ta2O5(Ta2O5:Au)薄膜を初めて成膜し,その後の熱処理によって結晶性の高いTa2O5 薄膜中へのAuナノ粒子の形成を試みた.その結果,Ta2O5の結晶化およびAuナノ粒子の表面プラズモン共鳴によるものと思われる特徴的な光吸収を確認した.すなわち,我々の共スパッタ法で,結晶性の高い金属酸化物薄膜中にAuナノ粒子を形成し,高性能な薄膜型蛍光体として応用できる可能性を見出した.現在は,同様の手法により,生体親和性が高い酸化亜鉛(ZnO)薄膜へのAg添加を試みており,薄膜中にAgナノ粒子を形成できる実験条件が得られつつある.2021年度も継続的に検討していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微細周期構造の形成に必要な実験装置の不調により,代替策として金属ナノ粒子の表面プラズモン共鳴の利用の検討を始めたばかりで,当初の計画より遅れていると言わざるを得ず,研究期間を1年間延長していただいた.2021年度は,顕著な成果が得られるよう,微細周期構造または金属ナノ粒子を利用した,放射線検出用蛍光体の高効率化を目指していく.
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り,本研究では,微細周期構造を用いて放射線検出用蛍光体素子の高効率化を目指しているが,現在は,金属ナノ粒子の表面プラズモン共鳴現象の利用も検討している.今後は,生体親和性が高いZnO薄膜へのAg添加を試みるとともに,微細周期構造の形成も併行して検討していく予定である.
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Causes of Carryover |
研究計画がやや遅れたため,研究期間の1年間延長を申請し,承認された.次年度使用額は,本研究の継続に必要な消耗品費に充てる予定である.
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Research Products
(2 results)