2019 Fiscal Year Research-status Report
進行肝臓病患者に対するMRIを用いた早期肝細胞癌スクリーニング手技の確立
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18K07669
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 聡 金沢大学, 保健学系, 教授 (30313638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 哲弥 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60436813)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Gd-EOB-DTPA / 早期肝細胞癌 / 進行肝臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は臨床的検討として肝細胞癌スクリーニング時に行うEOB造影ダイナミックMRIの際に動脈相画像の不良が生じ、一定の確率で診断に有用な良好な画像が得られない点に着目し、その機序の解明を行った。 この現象はEOB造影MRIにおけるTransient severe motion (TSM)と呼ばれているが従来使用されてきた細胞外液性のガドリニウム造影剤での出現は殆どないのに対してEOBを使用した造影MRIの際には10-20%程度観察されることが判明している。今回、我々はTSM出現には造影剤注入時の腹壁の動きが大きく関与していると考え腹壁の動きを呼吸モニタリング用のベローズで検出し、細胞外液性のガドリニウム造影剤とEOBにおけるTSM出現の状態と腹壁の動きのパターンや程度との関係を解析し比較検討した。その結果腹壁の動きの程度とMRI画質の低下の間には相関があること、腹壁の動きの有無とTSMの出現の間に相関があることを明らかにし、間接的にTSMの発生には一過性の腹壁の運動が大きく関与していることを明らかにした。また、従来の細胞外液性のガドリニウム造影剤でも軽度の腹壁の動きは低頻度で見られるがMRI画質の低下につながる閾値を超えていないため、従来は細胞外液性のガドリニウム造影剤でTSMは稀とされてきたが類似の現象が生じうるということが示された。 動物実験としては、初年度の検討で明らかになったマウスへのEOB投与での呼吸変動を更に詳細に解析するためにラット用の呼吸解析装置を購入し、より詳細な呼吸状態の変化の解析のための予備実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の臨床的検討で、TSM出現には腹壁の動きが大きく関与していることが明らかになった。この結果を踏まえ、次年度は現在進行中のラットでの実験により腹壁の動きの原因が呼吸運動の変化であることを明らかにするとともに、機序を解明し、早期肝細胞癌スクリーニングのためのMRI検査手技の確立に結びつけることが可能であると考え、この研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の臨床的検討の結果を踏まえ、次年度は現在進行中のラットでの実験により腹壁の動きの原因が呼吸運動の変化であることを明らかにするとともに、機序を解明していく予定である。 具体的には、EOBと従来の細胞外液性ガドリニウム造影剤をそれぞれラットに経静脈的、頸動脈的に注入し、呼吸モニタリング装置を使用して呼吸状態の変動を解析、更に臨床的検討で得られた種々のTSM促進因子の負荷の有無での状態の変化を確認し最終的にはTSM出現の機序の解明と克服方法を提示し、早期肝細胞癌のスクリーニングで用いられるEOB造影MRIの検査手技向上につなげていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
動物実験の進捗が計画立案時の予定よりやや遅れているため消耗品の支出が次年度に繰り越されたことを反映し次年度使用額が発生したが、動物実験の進捗に伴い計画通り次年度に支出する予定である。
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Research Products
(1 results)