2020 Fiscal Year Research-status Report
α線放出核種At-211の定位的脳内注入による難治性てんかんの治療
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18K07674
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 弘樹 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20448054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑澤 順 大阪大学, 核物理研究センター, 特任教授 (70198745)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルファ線 / アスタチン / 神経 / グリア |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究では、ラットの脳内にアルファ線核種である、アスタチン-211(At-211)を直接注入することによって、脳の変化を評価すること、てんかん発作の頻度、程度の変化を明らかにすることを目的としている 当該年度は、COVID-19の影響で、十分な実験時間が取れず、てんかん動物への投与、およびその効果の評価は不可能であったので、At-211の神経影響を明らかにすることを目標とした。 At-211を金ナノ粒子に標識して、ラットの海馬に注入した。コントロールとして生理食塩水を投与した。その結果、At-211を投与したラットでは、コントロールに比して脳の糖代謝、認知機能テストのスコアには明らかな変化は生じなかった。脳を組織学的に評価したところ、神経細胞、アストロサイト、ミクログリアの変化は、穿刺に伴う最小限のものであり、At-211によると考えられる明らかな変化は認められなかった。 At-211の脳内注入後の放射能分布を、ガンマカメラ、オートラジオグラフィにて評価したところ、At-211は脳内に分布し、全身の他臓器には拡散していないことが明らかになった。さらに、At-211は海馬内に広く分布しているものの、脳内のそれ以外の部位にはほとんど拡散していないことが明らかになった。 薬剤の投与が正しく行われていることを確認する目的で、神経炎症惹起物質であるLPSを同様の手技にて脳内投与し、ミクログリアの活性を免疫組織学的に確認したところ、投与部位の周囲にミクログリアの活性上昇が認められ、At-211投与の手技が問題なく行われたことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響にて、十分な実験時間が確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、てんかんモデルを用いて検討を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、実験が計画通り進まなかったため。
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