2019 Fiscal Year Research-status Report
ペプチド輸送体による腫瘍選択的能動取込を企図したBNCT用治療・診断プローブ開発
Project/Area Number |
18K07678
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上田 真史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40381967)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / セラノスティクス / ペプチドトランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)を行うために十分な量のホウ素を腫瘍組織選択的に高効率で送達するための薬剤開発、およびその送達量を非侵襲的に推定するための放射性分子プローブ開発である。 現在臨床使用されているホウ素薬剤としてボロノフェニルアラニン(BPA)があるが、その腫瘍移行量は十分ではない。そこで、BPAを母体とするホウ素含有ジペプチド薬剤を開発し、ジ/トリペプチドを認識するペプチドトランスポーター(PEPT)に基質として細胞内に輸送させる。腫瘍細胞に発現するPEPTを介してホウ素含有ジペプチド薬剤を能動輸送することで、腫瘍への高効率・選択的なホウ素送達を達成する。また、ジペプチド薬剤を放射性核種で標識した分子プローブも開発し、適用患者の選別やホウ素薬剤投与量の決定に利用する。このように治療と診断を一体化(セラノスティクス)するためのプローブ開発を行う。 当該年度は、初年度に合成したホウ素含有ジペプチド薬剤の腫瘍細胞への取り込みをインビトロで評価した。まずは複数の腫瘍細胞株を用いて、ウェスタンブロット法によりPEPTの発現比較を行い、高発現細胞株と低発現細胞株を見出した。続いて、高発現細胞株にホウ素含有ジペプチド薬剤を処置して、細胞内に移行したホウ素量をICP発光分光法により定量した。細胞の灰化時間や条件を種々検討することで、処置濃度依存的な取り込みを認め、インビトロ評価系を構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究実施計画として、①開発したホウ素含有ジペプチド薬剤のインビトロ評価、および②ホウ素含有ジペプチド薬剤の放射標識プローブ化、の2つを掲げていた。①については評価系を構築することが出来たが、②については標識前駆体の合成および標識化が完了しなかったため、計画よりはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、合成済みのホウ素含有ジペプチド薬剤のインビトロ評価を継続するとともに、良好な移行性を示したものを担がんマウスに投与して、ICP発光分光法により腫瘍内のホウ素量を測定し、インビボでの有用性を評価する。また、インビボで有用性の認められた薬剤の放射標識プローブ化を実施する。 研究協力者の学部生・大学院生の数を増やすことで計画の遅れを挽回し、当初計画通りの研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
残額は50円であり、ほぼ計画通り執行できたと判断できる。
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