2018 Fiscal Year Research-status Report
卵巣高異型度漿液性癌の個別化治療戦略に向けた分子イメージング診断法の確立
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18K07680
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
竹内 麻由美 徳島大学, 病院, 講師 (90423417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 健司 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (70274222)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 卵巣腫瘍 / 高異型度漿液性癌 / 分子イメージング / MRI / 高解像度拡散強調像 / 磁化率強調シーケンス / MRスペクトロスコピー / APTイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣腫瘍の術前検討として、適宜マルチパラメトリックに複数の分子イメージングを追加したMRI検査を施行し、局所励起法による高解像度画像を含めた拡散強調像による組織の拡散能の変化、3D造影ダイナミックMRIによる血流情報、磁化率強調シーケンスによる出血および石灰化の検出、MRスペクトロスコピーによる組織の代謝情報、CEST法を用いたAPTイメージングによるアミノ酸の検出などを総合的に評価する手法の開発を行った。 初年度の研究実績としては、主に各分子イメージングの精度管理とパラメータの設定、および症例蓄積であり、実臨床データから様々な知見が得られた。対照症例として、本研究の主たるターゲットである高異型度漿液性癌を含む卵巣の良悪性腫瘍および腫瘍類似疾患の撮像とデータ所得を行った。従来のシークエンスでは詳細な評価が困難であった小病変を、局所励起法による高解像度拡散強調像および3D造影ダイナミックMRIによる血管新生を反映した早期濃染域の検出を組み合わせて評価することにより、早期癌の診断における有用性が示唆された。一方、進行癌の症例では、磁化率強調シーケンスによる出血性壊死部の検出は、従来のT1強調像による亜急性期出血のメトヘモグロビンを反映した高信号域の検出に比してより鋭敏に新旧の出血巣の検出が可能であり、腫瘍の悪性度の評価への有用性が期待されるものと考えられた。また、腫瘍充実部のMRスペクトロスコピーやAPTイメージングによる検討では、細胞増殖能の指標であるcholine、壊死を反映したlipid、腫瘍での蓄積が認められるアミノ酸等の検出が、良悪性の鑑別や悪性度の指標として有用となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
卵巣腫瘍の組織型は多種多様であり、初年度においては高異型度漿液性癌について十分な症例の蓄積には至らず、その他の組織型についても統計学的な解析が可能な症例数には達していない進捗状況である。原因のひとつとして、早期癌については従来の画像診断では術前診断が困難であり、良性病変として術後に癌と判明することもまれではないため、症例の集積が予想よりも進まなかった可能性があるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に初年度で設定したプロトコールに沿って、卵巣腫瘍の術前検討としてマルチパラメトリックなパラメータを用いた分子イメージング(局所励起法による高解像度画像を含めた拡散強調像、3D造影ダイナミックMRI、磁化率強調シーケンス、MRスペクトロスコピー、CEST法を用いたAPTイメージングなど)のMRIデータの蓄積と解析を行い、適宜パラメータの調整と最適化を行う。また、手術までの期間が短く検査計画が困難等の原因による取りこぼしがないように、産婦人科医師との連携を密にして検査の遂行を図る。
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Causes of Carryover |
(理由)予定していた消耗品(ソフトウェア、データストレージなど)購入の次年度への繰り越し、論文投稿料等の次年度への繰り越しなど (使用計画) 次年度での消耗品などの購入、論文投稿料等の成果報告にかかる諸費用など
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Research Products
(7 results)