2018 Fiscal Year Research-status Report
PETでの網内系・センチネルリンパ節描出のためのGa-68 colloidの開発
Project/Area Number |
18K07689
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
高橋 和弘 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20370257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松坂 陽至 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00594483)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 68Ga標識スズコロイド / PET / クッパー細胞 / 貪食能 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は68Ga-colloidの適切な標識条件の探索を行った。まず、68Ga液に混合する金属溶液は塩化スズに決定した。これは99mTc標識スズコロイドが既に臨床で用いられ、スズコロイドの安全性が確立しているからである。 研究期間の開始前の予備実験から、68Ga-colloidの生成条件の重要な因子は、68Ge/68Ga generator関連(generatorの種類、前回の溶出からの時間)、68Geなどの金属コンタミネーションの除去の有無、中和するアルカリ性試薬の種類、中和後pH、アルカリ性試薬の混和後の静置時間、加熱の有無、加熱時間など多岐に渡る。これらの条件を変えて多数の実験を行い、適切な生成条件を評価した。生成したcolloidの性質の確認は、ポリカーボネートメンブレンフィルター(複数の孔サイズ)を用いたcolloid径のサイズ評価、薄層クロマトグラフィー(TLC)によるcolloid化の割合から判断した。 結果として、68Ga液と塩化スズ液の混合からの時間の長さに比例して、colloidのサイズが大きくなることが分かった。また、酢酸ナトリウム液で中和するとそのサイズの変化は止まることが分かった。これらの結果から、最適な標識条件を決定した。 また、作成した68Ga標識スズコロイドをラットに静注し、小動物用PETで撮像すると、肝臓と脾臓に明瞭な集積亢進を確認した。また、肝クッパー細胞を除去する薬剤を投与すると、その取り込みは有意に抑制された。以上より、我々の作成した68Ga標識スズコロイドは肝臓のクッパー細胞に特異的に取り込まれ、PETで確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、今年度は68Ga標識スズコロイドの最適な標識条件を決定することで時間がかなりかかると思われたが、実験を頻回に行うことで、標識の最適な条件を決定することができた。そして、その条件で作成した68Ga標識スズコロイドをラットに静注し、小動物用PETで撮像すると、肝臓と脾臓に明瞭な集積亢進を確認した。これらは当初の予定より早い進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、肝クッパー細胞を除去する薬剤を投与し、その肝臓への取り込みの変化を確認する。これにより、我々の作成した68Ga標識スズコロイドは肝臓のクッパー細胞に特異的に取り込まれることを小動物用PETで確認する。 また、疾患モデルとしてラットでNASH(非アルコール性脂肪肝炎)モデルを作成し、その集積の取り込みの変化を確認する予定である。これにより疾患の診断における有用性を評価する。
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Causes of Carryover |
今年度は予想以上にコストを抑えて実験を進めることができたため、次年度使用額が生じた。 しかし、次年度はさらに実験を進めるため、モデルウサギの作成依頼を含む実験などを考えていること、また海外の学術集会での発表も予定していることから、支出は当初予定額よりも大幅に増える予定である。
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