2018 Fiscal Year Research-status Report
時計遺伝子を基盤とした乳癌の微小環境制御と、MRI画像への臨床展開
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18K07702
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
清野 浩子 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (30598727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 雲燕 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40636586)
鬼島 宏 弘前大学, 医学研究科, 教授 (90204859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / 乳癌 / 低酸素 / 腫瘍細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
時計遺伝子DEC1とDEC2は全身のあらゆる臓器で発現しており、日内リズム、免疫や癌化、低酸素応答、アポトーシス、組織分化の制御など、多彩な制御機能を持つ。本研究では、ヒト乳癌の浸潤性増殖や血管新生、癌間質における時計遺伝子の機能を明らかとするとともに、MRI や病理組織標本を用いた乳癌の機能情報とDECの分布・発現量および予後との相関を評価することで、 MRI による非侵襲的なDEC評価法の確立、生物時計を考慮した乳癌治療への応用を目指す。 今回我々は、ヒト乳癌細胞において、時計遺伝子DEC2が、低酸素条件下で癌細胞のcell viabilityを促進することを明らかにした。また、DEC2がHIF-2α―Akt-c-myc経路における、Aktの下流因子として、細胞増殖に関わるc-myc遺伝子の転写を促進していることを明らかにした。さらにヒト食道癌細胞において、DECがEMT誘導因子の一つであるTGF-βのエフェクターとして働いていることを明らかとした。ヒト乳癌細胞株MCF-7とヒト間葉系幹細胞MSCの単層共培養で、MCF-7の形態が紡錘形に変化し、Spheroidで乳頭状の構造が失われるとともに、転写因子Snailなどの発現増加や上皮系マーカーの発現減少および間葉系マーカーの発現増加が認められ、MSCとの共培養によってMCF-7のEMT化が示されたことから、今後はヒト乳癌細胞株におけるDECと癌間質との関係について検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト乳癌細胞と時計遺伝子との関係を検討することにより、ヒト乳癌細胞株における時計遺伝子の意義を一部明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト乳癌細胞において、時計遺伝子の発現制御を行い、癌細胞増殖・腫瘍血管新生・腫瘍間質・HIF1に関わる時計遺伝子の分子機構を更に解明する。また、ヒト乳癌組織(外科切除材料)におけるDECやHIF-1αの発現を免疫組織化学的に検討するとともに、術前MRI所見、臨床病理学的因子、予後再発との関係についても解析していく。
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Research Products
(5 results)